コラム
「決済アプリ」の次なる一手は何か? PayPay金融グループの“第2章”が始まった:「ポイント経済圏」定点観測(2/5 ページ)
決済アプリのイメージが強いPayPayだが、着々と「金融サービス」としての立ち位置を築くための歩みを進めている。
PayPay金融グループの新章
PayPay金融グループが5年越しの構想を形にした。4月1日にPayPay証券が、同14日にPayPay銀行がそれぞれPayPayの子会社となり、決済と金融サービスを一体化する体制が整った。
「金融会社として見てもらうためには、経済圏の中でいかにお金を集められるかが重要」と、栗尾氏は語る。2016年にソフトバンクで始まったPayPay立ち上げの準備から関わってきた栗尾氏にとって、この5年間は「適切なタイミングで必要な手を打ちながら、計画を進めてきた」期間だった。
2018年にリリースされたPayPayアプリは、キャッシュレス文化の定着とともに急速に普及。2020年7月に金融サービスを「PayPay」ブランドに統一する方針を発表し、One Tap Buy(現PayPay証券)、ジャパンネット銀行(現PayPay銀行)、YJカード(現PayPayカード)など順次ブランド統一を進めてきた。そして今年4月、資本再編を経て、「第2章」と位置付ける新たなフェーズに入った。
これまでPayPay証券はソフトバンクが主要株主、PayPay銀行はZホールディングス傘下、PayPayカードは当初ヤフー(現LINEヤフー)の完全子会社と、それぞれ異なる資本構成だった。これが今回の再編で、先行していたPayPayカードを含め、すべてがPayPayの完全子会社となったのである。
これにより「事業だけでなく、経営全体でシナジーを生むことができる体制が整った」と栗尾氏は強調する。
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