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ファミマはなぜ「服」を売るのか? コンビニ戦争で際立つ“ライフスタイル戦略”(3/6 ページ)

ファミマが衣料販売に力を入れている理由は何なのか。マーケティングの視点から、その戦略を読み解く。

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“近くで買いたい”に応える、生活シーン別カラー戦略

 ファミマが優れていたのは、製品開発の前段階で、ターゲットがどのような価値や魅力を求めているかを見極めた点にある。マーケティングで用いられる「STP理論」においても、そのアプローチは特徴的だ。市場の区切り方(Segmentation)は性別や年齢といった属性ではなく、“生活シーン”を基準に設定している。また、ターゲット(Targeting)は、時間や場所に制約のある生活者全般とし、ポジショニング(Positioning)は「コンビニだからこそ手が届く、高品質ベーシックウエア」として打ち出した。

 生活シーン別のペルソナの例は、以下の通りだ。

 1.在宅勤務の合間の人

 画面映えするトップスを、近所で手軽に手に入れたいと考える30代会社員。

 2.週末のスポーツ帰りの人

 汗をかいた帰り道に、速乾性のあるロングTシャツに着替えたいフィットネス層。

 3.子どもの送迎後の人

 保育園帰りに、そのまま公園に行けるような楽なスウェットを買い足したい親世代。

 これらのペルソナに合わせ、黒や白、ネイビーといった定番色を軸にしつつ、季節ごとに蛍光イエローやラベンダー色など、鮮やかな差し色を投入するカラー戦略を採用している。


鮮やかな色のものも複数展開

 選択肢を絞り込みつつも、“地味”にはならない。その絶妙なバランスが、選択肢が多すぎるとかえって選べなくなるという“選択のパラドックス”をも避け、目的買いにも対応できる色展開を実現している。

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