コラム
ファミマはなぜ「服」を売るのか? コンビニ戦争で際立つ“ライフスタイル戦略”(5/6 ページ)
ファミマが衣料販売に力を入れている理由は何なのか。マーケティングの視点から、その戦略を読み解く。
伊藤忠の調達網と、データ駆動型運営で効率よく
親会社である伊藤忠商事の強みである生地の調達網は、低ロット・高回転の生産体制を可能にし、ファミマの衣料展開を支えている。さらに店舗レベルでは、AIによる自動発注支援なども進めており、食品分野で培った“データ駆動型運営”を衣料領域にも横展開している。
こうした戦略的な仕組みづくりと運営効率の追求により、看板商品である靴下は累計2000万足を超える販売実績を記録。直近では、ショートパンツが累計20万枚、オーガニックコットン吸水ショーツも4万枚を売り上げるなど、派生アイテムのヒットも続いている。これにより、2023年度の衣料売り上げは前年比30%増の100億円超となった。
これら衣料の売上は、店舗当たりの客数や客単価を押し上げる要因としても、ファミマのIR資料で言及されている。
また、環境への配慮という観点でも動きは加速している。ファッション業界では廃棄の多さが課題とされるなか、ファミマは2024年から不要衣料の回収実証実験を開始。回収品は、状態の良いものは海外チャリティに、傷んだものはRENU原料として再生されるスキームを構築した。
こうした取り組みは、SDGsの目標年とされる2030年を待たずとも、「数分の買い物時間を社会貢献に転換できる」という点で、“便利”と“善意”を両立させるハイブリッドな価値提供と言えるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
ナイキ「オワコン化」の足音 株価急落、新興シューズメーカーが影
ナイキの不調には複数の要因が絡んでいるようだ。
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」
部下が報連相しようとしたときの上司の何気ない「ある一言」が、部下の心を萎縮させているのだ。
