世界最大の自動車市場「中国」で何が売れる? 日系の勝算と苦戦のワケ:『自動車ビジネス』(2/3 ページ)
中国は世界最大の自動車市場で、年間販売は3000万台を超えている。日米欧のメーカーが参入する中、地元の民族系メーカーも台頭し、新エネルギー車(NEV)の普及が急速に進んでいる。変化する市場は……
他にも面白かったのが「後席に乗せる友人に“よいクルマだな”と言われたいため、後席は広い方がよい」ということです。そのためドイツ車などは、わざわざボディを伸ばした中国仕様を用意するほどでした。さらに、中国語で「250」はスラング的に「バカ」という意味になるため、クルマの名称にはなるべく使わないということも聞きました。
ただし、現在では新型車が売れるようになり併売もなくなっているようです。また、世界のトレンドと同じように、中国でもSUV人気が高まり、2020年頃からはSUVの販売がセダンを上回っています。最近は、トヨタが中国向けにミニバンを販売していますから、もしかすると今後は日本のようにミニバンの人気が高まるかもしれません。
そんな中国の市場で、いま、最も注目されているのが新エネルギー車(NEV)です。これは電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)、燃料電池車(FCEV)を指します。中国では、こうした新エネルギー車(NEV)の普及を、国を挙げて推し進めているのです。
その理由は、石油確保という安全保障対策、環境対策、自動車強国実現があります。中国は、日欧米など諸外国の自動車メーカーに負けない、強い自動車産業国を目指しているのです。そのためには、遅れをとっているエンジン(内燃機)ではなく、電気自動車(BEV)といった新しいジャンルで勝負しようと考えたのです。
中国は共産党の独裁政権ですから、目標が定まれば、国を挙げて、強力に計画を進めます。2010年頃から、新エネルギー車(NEV)普及のために、数多くの施策が導入されています。ひとつはエンジン車の抑制です。大都市での登録を難しくして、しかもナンバーの奇数偶数によって走れる日を決めました。ナンバーの登録は、廃車になった分だけしか新規発行しません。走行規制は、たとえれば月曜に街を走れるのは偶数ナンバーのクルマだけで、火曜は奇数だけといった具合です。
また、新エネルギー車(NEV)に対して優遇税制を用意しました。取得税や自動車税を減免します。補助金も2023年まで出しました。充電インフラの整備を、地方自治体に義務付けて、新築の住宅には必ず、一定数の充電器を用意させたのです。
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