Sansan、名刺交換後に「お礼メールを送れない」営業パーソンをターゲットにした新サービス 内容は?
Sansanは5月26日、「デジタル名刺ソリューション」の提供の開始を発表した。
Sansanは5月26日、「デジタル名刺ソリューション」の提供を開始する。日々大量の業務に追われる中で、名刺交換後に「お礼メールを送れていない」という営業パーソンも多い。受け取った紙の名刺を名刺管理ツールSansanに登録するだけで、相手にデジタル名刺を自動送付する新サービスを提供し、確実に相手の手元に名刺情報を残せる仕組みを構築する。
「お礼メールを送れない」営業をターゲット 新サービスの内容は?
新サービスには、受け取った紙の名刺をSansanに登録するだけで、相手にデジタル名刺が自動送付される「デジタル名刺メール」と、紙とデジタル両方の名刺を作成・管理できる「デジタル名刺メーカー」を搭載する。
これまで同社は、“受け取った名刺”の管理・活用を軸に市場を開拓してきた。今回の新サービスでは、“渡した後の名刺”にフォーカスする。代表取締役社長の寺田親弘氏は「当社において、新サービスはパラダイムシフトになる」と語る。
紙の名刺交換には、紛失や破棄によって渡した名刺が十分に活用されないといった課題がある。実際に同社が実施した調査では、渡した名刺の約半数が活用されていない(すぐに探せる形で管理されていない)という結果が分かった。
また、社外の連絡先を探す際に「メールボックス」を活用する人は約7割だった。しかし、日常的にフォローメールを送れている人は4人に1人にとどまり、相手の元には「名刺もない」「メールもない」という状態が生まれていることが明らかになった。
同社の調査によると、1件当たりの商談獲得単価は約20万円にのぼる。にもかかわらず、営業パーソンの個人の判断によって、機会損失が起こっているケースが少なくないのだ。
この課題を解決し、機会損失を防ぐため、新サービスを提供したという。
デジタル名刺メールは、受け取った名刺をスキャンし、Sansanがデータ化した翌日に、相手のメールアドレス宛に自分のデジタル名刺を自動で送信する。
デジタル名刺メールには、企業名や氏名、連絡先といった紙名刺と同様の情報が掲載。メールマガジンと異なり情報量が多すぎることもなく、受信者にとって負担が少ないため、削除されるリスクを軽減した。「デジタルメールは、メルマガやお礼メールとは違うポジションになると思っている」(寺田社長)
受け取った相手は、デジタル名刺メール上の「メールで連絡する」というボタンを押すだけで返信できる。これにより、紙の名刺を見ながらメールアドレスを手入力する手間をなくし、負担を軽減する狙いだ。
デジタル名刺メーカーは、社員一人一人に対して常に最新のデジタル名刺を作成・支給できる機能。自社の名刺デザインテンプレートをSansanに登録すれば、氏名・肩書き・連絡先といった情報を入力するだけで、名刺データが作成できる。
作成した名刺データは、デジタル名刺として活用できるほか、紙の名刺として印刷発注も可能だ。情報の登録や更新は管理画面で手入力できるほか、CSVで一括登録も可能なため、組織変更や役職変更といった情報の更新も容易に行えるようにした。
新サービスは、すでにSansanを活用しているユーザー向けに提供していく。現状、展示会出展を強化している企業や不動産業界など、名刺交換の機会が多い企業での導入が進む。
「すでに50社導入を進めており、強い手ごたえを感じている。5月28日から、テレビCMの放映も開始する。当社のビジョンである『ビジネスインフラになる』を達成していきたい」(寺田社長)
ITmedia ビジネスオンラインでは、Sansan事業部の小川泰正事業部長に新サービス提供の狙いについて詳しく取材している。
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