60代で「海外転勤」「未経験の仕事」も 村田製作所があえてハードな“65歳定年”にしたワケ(2/2 ページ)
2024年4月から65歳定年制を導入した総合電子部品メーカーの村田製作所は、60歳以降も「海外転職あり」「新しい業務への異動あり」など、現役バリバリで仕事ができる体制を整えた。同社の戸井孝則氏(執行役員 コーポレート本部 統括部長)が、65歳定年制導入の背景や1年間の成果を語った。
在籍しながらの転職活動を支援
「卒業」という名の退職を選ぶ社員にも、さまざまなサポート体制を設計した。一般職向けには、適用年齢に応じて退職付加金を支給する早期退職優遇制度と選択定年制度を用意した。また、希望者には退職から1年間、再就職支援会社を通じてカウンセリングや職業紹介などの支援サービスを提供する。
60歳に到達する管理職は、正社員として勤務継続する場合はプレイヤーに戻って一般職層の最上位職級相当の処遇を受ける、もしくは選択定年退職するという2つから選べる。加えて、2022年10月から「再就職支援制度」を運用している。これは「退職を前提としない」ことに特徴がある。59歳に到達する管理職を対象に、現在の業務を続けながら自身のこれからのキャリアを考える機会を提供する。転職するのか、起業など新しいキャリアをスタートさせるのか──今後の人生を見つめ直す。
65歳定年制を導入して1年がたち、どのような成果が出ているのか。60歳到達時の進路選択状況を見ると、導入前に比べ、転職や起業を選ぶ管理職が増加。現在の業務を続けながら受けられる再就職支援制度を利用した管理職は、75%が退職を選択した。一方、社内に残った管理職はプレイヤーに戻った後、約半数が人事や採用、技術管理などそれまでとは異なる分野で働いている。
導入から1年ということもあり、「課題はこれから出てくるだろう」と戸井氏。今後はキャリア研修の充実や相談体制の拡充、50代後半管理職への異なる業務の体験機会の提供といった施策を増やしたいと考えているという。
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