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フジテレビ「8つの改善策」が不十分すぎるワケ 第三者委員会にも責任あり?(4/5 ページ)
フジテレビが再生・改革に向けた8つの具体策を発表した。しかし、企業再生に詳しい有識者は「不十分すぎる」と断じる。なぜなのか。
トヨタも東芝も、同じだった
東芝の会計不正も、三菱電機の品質不正も、トヨタはじめ自動車各社の認証不正も、全てその原因として指摘されてきたのは「言いたいことが言えない」「断りたいことが断れない」組織風土です。
改善には、誰もが「言いたいことを、言いたいときに言える」組織風土づくり、すなわち「心理的安全性の確保」こそが再発防止に不可欠であり、各社は組織内コミュニケーションの活性化をはじめ、具体的な心理的安全性の確保施策に取り組んでいます。筆者が先に「ガバナンス改革・組織改革」に関して底が浅いと申し上げたのは、まさにこの点への言及の薄さゆえなのです。
フジ側の改革案を見るに、心理的安全性確保についてはかろうじて「(7)女性・若手登用」の項の中に「心理的安全性を保証して発言しやすく ・リスペクトにあふれた職場で誰でも何でも言える環境に 」などと申し訳程度には記載されているものの、改革の具体策に言及した「改革アクションプラン」では一切触れられていません。
フジ・メディアHDは今回の事象を経てなお、企業不祥事を発生させる根源である心理的安全性確保の重要性を十分に認識しているとは思えず、この点からも改革案は対症療法に終始し根源的な風土改革にまでは届かないもの、と言わざるを得ないと考えるのです。
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