ハーゲンダッツ、“まさか”の伸び悩み? 打開策で注目する「差し入れ文化」(3/5 ページ)
日本でプレミアムアイスとして人気を集めるハーゲンダッツだが、近年は成長が伸び悩んでいる。その背景には何があるのか。そして、同社はどんな手を打とうとしているのか。
カギを握るのが「6割」のライト層
ハーゲンダッツ ジャパンの歴史をひも解くと「日本初」や「日本市場向け」「日本で開発」などの言葉が多く見られます。それを支えたのは1995年に設立した日本市場向けのR&Dセンターです。ここでは日本市場攻略を考え抜いた商品を開発しており、中には世界的なヒットにつながった事例もあります。
例えば、1996年に発売した「グリーンティー」は、その一つです。現在は日本を含め、世界11カ国で販売されるまでに拡大しています。2001年発売のクリスピーサンドも、日本発の商品です。開発に7年をかけて、現在では世界4カ国で販売されています。この他、牛乳の代わりに豆乳を使用した商品で世界的な健康志向に対応するといった取り組みも、日本から始まっています。
このようにして、毎月1〜2個の商品を発売し、2025年も1〜5月に10商品以上を発売しました。このスピード感で作れるのは、世界に3カ国しかないハーゲンダッツ工場の一つが群馬県高崎市にあるからです(製造委託工場が愛媛県にもあります)。近くに生産をコントロールできる拠点があるからこそ、日本独自のフレーバーの季節限定品や期間限定品を多く作れるのです。
ハーゲンダッツ ジャパンによると「1年間に6回以上購入するヘビー層が全体の2割、年間に2〜5回買うライト層が4割、直近1年間ハーゲンダッツから遠ざかっている(未購入客や離反客も含めた)新規層が4割という構成」で顧客を捉えているそうです。ライト層と新規層が6割を占め、そうした層を振り向かせるためには、季節感や話題性などの限定感、何らかの購入意欲を掻き立てるような特別なメッセージ、購買意欲をそそるパッケージデザインなどのモチベーションマーケティングが必要となります。R&Dセンターが徹底的に調査し、日本市場にあわせた迅速な商品開発によって売り上げを作ってきたのが同社の最大の強みといえるでしょう。
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