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「マイクラ映画」大ヒット 大人は知らない爆発的人気の納得理由エンタメ×ビジネスを科学する(3/4 ページ)

2025年4月公開の映画『マインクラフト/ザ・ムービー』が、世界で記録的な興行成績を収めている。

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子ども向けYouTubeでの圧倒的人気

 良いプロダクト、良いゲームであることだけでは昨今の市場環境で子ども世代を獲得するには不十分である。日本、そして世界で子ども世代に浸透した要因の一つとして、マイクラを活用した子供向けYouTubeチャンネルの増加が挙げられる。

 世界、そして日本の子ども世代向けYouTuberランキングにはマインクラフト実況を主力コンテンツとするチャンネルが上位に位置付けられている。多くの子どもたちが日常的にマイクラ動画を視聴しており、ゲームを持っていなくても世界観や遊び方を理解できる。

 そのうち一定数は自分の環境でまねて遊ぶ。子ども世代へコンテンツを浸透させる重要要素の一つ、「遊び方の例」をYouTubeを通じていつでも見られることが大きな要因といえる。

 そのような“YouTubeネイティブ世代”の子どもにとって、本映画は大好きなコンテンツがスクリーンで展開する夢のような機会だ。かつてマリオシリーズを楽しんだ大人にとっての『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のようにである。

 加えて、映画公開直前には公式の特別映像や劇中歌がSNSで拡散されるなど、デジタル世代に届くプロモーションも成功した。YouTubeやSNSで育まれたマイクラ熱が、そのまま映画館への動員につながったと考えられる。

日本のコンテンツトレンドとの親和性

 前述の通り、映画の設定には現実世界からゲーム世界への転移という異世界ファンタジーの構図があり、これは日本のアニメや漫画、ライトノベルで人気のジャンルと重なる。主人公たちがゲームの中で能力を獲得し成長する展開は、漫画やゲームの王道的展開であることに加え、いわゆる「異世界転生もの」を彷彿(ほうふつ)させ、日本の若年層観客にも受け入れられやすい。

 また、劇中ではドット絵風の道具をクラフトする、それを用いて敵と戦うなどRPG的な冒険要素も描かれ、ゲームに親しんだ観客の琴線に触れる要素も多分に含まれている。ハリウッド実写映画でありながら、日本の流行する物語要素との親和性が高かったことが、成功を収めた一因と考えられる。

 以上のように『マインクラフト ザ・ムービー』の成功にはファミリー層の取り込みとゲーム発の強力なブランド力、そしてデジタル時代の視聴習慣や物語嗜好への適応が大きく寄与したと考えられる。実写映画全般が伸び悩む中で、本作はこれら複合的な要因によって観客の支持を集めたといえる。

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