「貞子が出現する村」はどうなった? 奈良・下北山村、次は”未確認生物”で勝負(2/4 ページ)
ホラー映画の貞子が出現するARアプリで話題を集めた奈良県・下北山村。アプリ終了後も観光施策は継続中で、次なる資源は未確認生物「つちのこ」。地域の持続的な振興を目指す取り組みに注目が集まる。
話題性の先にある課題は「継続性」
アプリをリリースした背景には、村が抱える課題があった。日本最大級のキャンプ場予約サイト「なっぷ」で、西日本・予約件数部門1位を通算3回受賞した「下北山スポーツ公園」のキャンプ場には多くの来場者が訪れるものの、村内の他の観光スポットを巡らずに帰る人がほとんどだった。
そんな中、2022年10月に映画『貞子DX』が公開されたことをきっかけに、村が進めていたデジタル施策との縁を感じ、貞子とのコラボレーションを決断した。
目指したのは、単なる観光客の増加ではなく「関係人口」の創出、ひいては移住の促進だった。関係人口とは、移住でもなく観光でもない、地域と多様に関わる人々を指す。貞子をきっかけに村を知ってもらい、好きになってもらいたいという思いがあった。
当初の狙いのひとつである「村内周遊の促進」では、バイクツーリングの愛好者を中心に、観光客が少なかった民俗資料館などのスポットにも足を運ぶ人が増えるなど効果が見られた。
しかし、村の認知度向上や観光スポット周遊促進などの成果を上げた一方、取り組みを通じて見えた課題は継続性だ。「話題をつくれたが、村を訪れるリピーターを増やす仕組みづくりが重要」と担当者は振り返る。
下北山村には観光協会がなく、観光ガイドなどの人材も不足している。そのため、貞子アプリをきっかけに訪れた観光客に対し、さらに深く村の魅力を伝える体制を整えることが簡単ではなかった。これらは、ほかの観光施策でも共通する構造的な問題でもある。
さらに、「貞子の村巡り」アプリは2025年10月末でサービスが終了する。著作権の関係で、もともと利用期限は3年間と定められていた。
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