なぜ「赤本」は表紙を変えたのか 18歳の人口が減っても、売り上げが横ばいの理由:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
大学受験生にとって定番の「赤本」。だが、その歴史や制作の裏側を知る人は意外と少ない。表紙リニューアルの背景や売れ行きを左右する要因、さらに“最古の赤本”の行方など、その知られざる物語に迫る。
売り上げを左右する要因
では、赤本はどういったときに売れて、どういったときに苦戦するのか。18歳の人口を見ると、2005年には約137万人だったが、2023年には約112万人まで減少している。「少子化=部数減」と思いきや、そうでもないようだ。大学入学者や進学率は伸びているので、人口の減少分を補ってきた。
売り上げを左右する要因は「人口」や「大学進学率」だけではなく、ほかにもあるようだ。例えば、競争の激しさである。推薦入試で合格する人が増えれば「どうせ受かるでしょ。赤本なんて必要ないよね」となって、書店でなかなか手に取ってもらえない。
新しく大学ができたり、学部が増えたりすれば、部数が伸びることもあるが、学校によっては試験内容を統一することもあるので、それほど部数が伸びないこともある。
いろいろな要素がからんでくるので、「今年の赤本は売れる!」となかなか断言できない事情があるようだ。事実、過去の売り上げを見ると、ほぼ横ばいが続いている。
ところで、赤本はどのようにつくられているのか。最新の2026年版の刊行は556点、大学数は378大学である。「あなたの担当は東大と京大ね」「君は早稲田と慶應ね」といった形で大学別に担当者が決まっているわけではなく、分業制を導入している。
編集部のメンバーは30人ほど。過去問の入手を担当する人、原稿を執筆する先生に依頼する人、科目を担当する人、校正を依頼する人……。さらに、製本や校了まで見届ける人もいる。リレーのように役割が引き継がれ、毎年5〜6月にかけて、新しい赤本が書店に並んでいるのだ。
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