コラム
なぜ「赤本」は表紙を変えたのか 18歳の人口が減っても、売り上げが横ばいの理由:週末に「へえ」な話(4/4 ページ)
大学受験生にとって定番の「赤本」。だが、その歴史や制作の裏側を知る人は意外と少ない。表紙リニューアルの背景や売れ行きを左右する要因、さらに“最古の赤本”の行方など、その知られざる物語に迫る。
最古の赤本はどこに?
さて、最後に「最古の赤本」について紹介しよう。先ほど「赤本は1954年に登場して〜」といった話をしたが、実は1954年と1955年のモノが行方不明である。
「出版社の書庫にもないの? 管理がずさんでしょ」などと思われたかもしれないが、手元にない最大の理由は、やはり古いためである。
当時は紙が貴重だったこともあり、古い過去問が残っていれば、それを抜き取って、新しい本に再利用していた。古い赤本をじっくり見ると、過去問の掲載年によって紙の色が微妙に異なっているのだ。
といった背景があるので、同社の書庫には「最古の赤本」が1冊も残っていない。創刊60周年のときに「プロジェクト」を立ち上げて、大々的に情報提供を呼びかけたものの、いまのところ見つかっていない。
「初期の赤本は赤くない可能性が高く、表紙も大学名だけだったかもしれません。自宅の書棚または古本屋にひっそり並んでいたとしても、誰にも気づかれないまま、ひっそりと時を刻んでいるのかもしれません」(中本さん)
もしかすると、どこかの誰かが「ん? この古本、なんでこんなに過去問がまとまっているの?」なんて首をかしげながら、“赤くない本”を手にしているのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
隣の同僚が億万長者に? 知られざる「いつの間にか富裕層」の実態
かつて「一生分の大金」とされた1億円。だが今では、一般の会社員でも資産1億円を超える「いつの間にか富裕層」になるケースが増えている。野村総合研究所の調査から見えてきた、“元庶民”たちの新たな富の姿とは――。
サザエさんの家の価値は? 昭和と令和の“間取り”が示す時代の変化
昭和と令和の「間取り」に、どのような違いがあるのか。「サザエさんの家」と「3階建ての家」を比べてみると……。
「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきた
「年収700万円」ファミリーは、どんなところに住んでいるのでしょうか。データを分析してみました。
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
