インタビュー
宮古島“観光バブル”の代償──倍増した家賃、住めなくなる地元民……変わりゆく現実(2/3 ページ)
観光客が急増し、経済効果に沸く宮古島。しかしその裏では、人手不足や住宅難、地価高騰といった深刻な問題が島を覆う。急成長の光と影に迫る現地ルポ。
深刻化する人手不足
しかし、この観光ブームの陰で深刻な問題が表面化している。顕著なのが人手不足だ。
「ツアーバス、タクシー、飲食店など、あらゆる分野で人が足りません。他方、ホテルは次々と建設されており、全体の稼働率は分散により下がっています。ホテル経営者からは『もっともっと観光客がほしい!』という声が上がっています」
レンタカー業界では、コロナ前から台数が倍近くに増加。特に保有数10台以下の中小レンタカー業者が急増している。大手は元の規模に戻しただけだが、中小業者の参入により供給過多の状態となっている。
観光客自身が運転できればいいが、全ての人がそうではない。そこでタクシーの需要が増えることになるが、目下、タクシー不足が深刻である。宮古島には約220台のタクシーがあるが、運転できるドライバーは130人程度しかいない。
「以前は1台のタクシーを複数のドライバーが交代で運転していましたが、現在は1人1台と専用になっています。高齢化でコロナ禍のタイミングにやめてしまったドライバーが多く、車両はあっても運転手がいない状況です」
加えて、観光ツアーバスも台数やドライバーが限られている。こうした問題は観光客の1割を占める交通弱者(高齢者や免許を持たない若年層)に深刻な影響を与えている。レンタカーを利用できない観光客は、実質的に移動手段を失っているのだ。
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