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鳥貴族はなぜ生き残れたのか さくら水産と分かれた“居酒屋の十字路”:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
「さくら水産」の大量閉店が話題になっている。同じ激安居酒屋チェーン「鳥貴族」にあって、「さくら水産」にないものとは――。
“激安居酒屋”「鳥貴族」と「さくら水産」の違い
なぜ、同じ激安路線にもかかわらず、さくら水産の値上げでは大幅な客離れが起き、鳥貴族は客離れが起きなかったのか。
鳥貴族の場合は、ちゃんと「付加価値」を高めてきたからだ。
よく誤解されるが、鳥貴族を一躍有名にした「全品280円均一」のシステムは、「採算度外視で激安に走った」わけではない。
ビールもおつまみも全て同じ価格にするという当時、他の居酒屋にはないシステムによって、その辺の居酒屋にはない「付加価値」を提供したのだ。しかも、原価率の低いものと高いものをうまくミックスして、全体で利益が出るように設定した価格が「全品280円」なのだ。とにかく客を呼びたくてテキトーに値付けしたわけではない。
このように採算をちゃんと考えた上での「激安」なので、原料高騰や人件費アップに合わせて価格も上がっていく。そうした価格改定に合わせて鳥貴族がしっかりとやっているのは、メニューを増やしすぎず「焼き鳥」に特化するなど、ブランド価値をキープしていることだ。
もちろん、そういう企業努力をしても「全品390円? こんな高級店にもう行けるか! 280円に値下げするまで二度と行かないぞ」という客は、一定数いる。SNSで「久々に店に行ったら値上げのせいで閑古鳥だ」とか「値上げしたのに味が落ちた」とかバッシングする人もあらわれる。
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