KITTE大阪が仕掛ける“食の7割”作戦 駅前一等地なのに、なぜ振り切ったのか:大阪駅北側の「うめきた」エリア(1/5 ページ)
大阪駅前の激戦区に位置しながらも、開業から約1年で来館者1000万人を突破した「KITTE大阪」。なぜ多くの人が足を運び、リピーターも絶えないのか。その仕掛けと戦略に迫る。
大阪駅北側の「うめきた」エリアに開業した新施設の集客が好調だ。2024年7月に開業したKITTE大阪は、203日で来館者1000万人を突破し、9月に一部を先行開業したグラングリーン大阪も1000万人を達成した。
商業施設が密集するエリアでは、客の奪い合いも懸念されるが、「うめきた」ではそれぞれが順調な集客を実現している。背景には何があるのか。KITTE大阪館長の大平真氏に話を聞いた。
KITTE大阪は、JR大阪駅西口直結のJPタワー大阪内(地下1階〜地上6階)に展開する商業施設だ。「UNKNOWN(アンノウン)」をコンセプトに、まだ広く知られていない日本各地の「いいもの」や地域の食文化を集めている。タワーの11〜27階にはオフィス、29〜38階にはホテル「THE OSAKA STATION HOTEL」が入居している。
地下1階は、大人のたまり場をコンセプトとした飲食店が立ち並ぶ横丁ゾーン「うめよこ」、2階は全国各地のアンテナショップが集まる「Feel Japan Journey(ええもん にっぽん めぐり)」のフロア、4〜5階はレストランが集積する飲食フロアを展開している。全114店舗のうち約8割が大阪駅周辺初出店で、全体の約7割を占める飲食・食物販の構成が特徴だ
来館者数は2025年2月に1000万人を突破。当初の計画より2カ月早い達成で、その後も好調に推移している。集客状況について、大平氏は「当館の取り組みだけで実現できたものではない」と語る。
要因として、同時期に開業した他施設の存在が大きい。KITTE大阪と同日に「イノゲート大阪」、その後に「グラングリーン大阪」が開業するなど、「うめきた」と呼ばれるエリアに商業施設が次々に誕生した。
「同時期に3施設できたことで、シナジーを生み出せた」と大平氏は振り返る。JR大阪駅を中心に、各施設が歩行者デッキや地下街でつながった結果、回遊性が高くなり、施設間を行き交う人々の姿が目立っている。実際にうめきたエリアを周遊してみると、それぞれの施設が特色を持ち、エリア全体で「面」での集客ができている印象だ。
さらに、4月からは大阪・関西万博の開幕により、大阪への人流が増えたことも追い風となっている。
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