インタビュー
KITTE大阪が仕掛ける“食の7割”作戦 駅前一等地なのに、なぜ振り切ったのか:大阪駅北側の「うめきた」エリア(2/5 ページ)
大阪駅前の激戦区に位置しながらも、開業から約1年で来館者1000万人を突破した「KITTE大阪」。なぜ多くの人が足を運び、リピーターも絶えないのか。その仕掛けと戦略に迫る。
「食が7割」のテナント構成で差別化を図る
一方で、KITTE大阪独自の戦略も見逃せない。「うめきた」には、以前から「ルクア大阪」や「グランフロント大阪」といった商業施設のほか、阪急や阪神などの百貨店があり、買い物エリアとしてはマーケットが成熟していた。後発として参入するのであれば、既存施設と同じ戦略では差別化を図ることが難しい。そこで選択したのが、「食」への特化だった。
この判断について大平氏は「雑貨やアパレルを中心とした施設やブランド構成にすると埋没する可能性があった」と分析する。
既存の周辺施設が雑貨やアパレル販売で存在感を示す中、同じ土俵で勝負するのではなく、「食」に振り切る戦略で関連テナントの比率を7割に高めた。
「うめよこ」やレストランフロアは週末などは開店直後からにぎわい、行列ができる店も多いことから、食特化戦略の効果がうかがえる。
また、東京や名古屋のKITTEと比べると、大阪は最大規模の施設となるほか、立地の優位性もある。JR・地下鉄・私鉄の各駅から直結という立地を生かし、通勤・通学・観光など幅広い利用者による、食を通じたリピート利用を促進した。
その結果、幅広い年齢層による利用を実現している。2階のアンテナショップ、地下1階の横丁ゾーン、4〜5階の飲食フロアが来館者の回遊を促し、継続利用につながっている。
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