KITTE大阪が仕掛ける“食の7割”作戦 駅前一等地なのに、なぜ振り切ったのか:大阪駅北側の「うめきた」エリア(3/5 ページ)
大阪駅前の激戦区に位置しながらも、開業から約1年で来館者1000万人を突破した「KITTE大阪」。なぜ多くの人が足を運び、リピーターも絶えないのか。その仕掛けと戦略に迫る。
全国の「ご当地もの」がフロアに集まる魅力
順調な集客を支える大きな要因として、2階の「Feel Japan Journey」内に展開するアンテナショップの好調も挙げられる。日本各地の特産品に1カ所で触れられる施設が少ない大阪では存在感を示している。販売だけでなく、観光デスクを配置する店舗もあるなど、観光PRや移住促進といった目的も果たしている。
希少性と話題性が集客につながり、来館者からは「フロアを回遊しただけで、全国を飛びまわっている感覚」といった声が寄せられるなど、アンテナショップフロアは高い評価を得ている。
特に好調なのが高知県のアンテナショップ「とさとさ」だ。県の外郭団体が運営するなど、販売体制が整備されており、週末を中心に土佐酒やカツオなどの催事を積極的に実施している。独自の広報活動も実施しており、報道によると初年度8カ月の売り上げが2億円を超えたという。
そのほか、北海道や沖縄のアンテナショップに加え、北陸3県(富山・石川・福井)が集まった「HOKURIKU+」も好調だ。
話題性の維持に向けて、同フロアにはポップアップスペースを設け、中・短期間でテナントが入れ替わる仕組みも取り入れている。常設店舗と、定期的に入れ替わる店舗を組み合わせることで、来館者に常に新しい発見を提供している。
常設出店が難しい自治体や、大阪でのトライアル出店を希望する自治体については、「@JP Cafe」内や館内のイベントスペースを活用した週替わりイベントを実施。専門のスタッフが地域コーディネーターという立場で、販売方法やディスプレイのコンサルティングサービスを提供し、自治体の出店を支援している。
「万博開催中の10月まで予約がほぼ埋まるなど、想定以上の反響を呼んでいる」と大平氏は手応えを語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「廃虚アウトレット」の乱立、なぜ起こる? 絶好調なモールの裏で、二極化が進むワケ
業績を大きく伸ばすアウトレットがある一方で、ほとんど人も来ず、空きテナントだらけのアウトレットが増えている。その原因は何なのか?
「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モール
かつて「街のにぎわいの中心地」ともいわれたイオンモールでも、近年は「安泰」ではない状況になっている。少子化が進む日本で大型ショッピングセンターが生き残る鍵は――。
「広島の新スタジアム」集客率90%超の理由は? 街中に広がる“紫”の熱狂
Jリーグの入場者数が増えている。2024年は過去最高を記録したわけだが、その背景に何があるのか。
ジャパネットが手がけた「長崎スタジアムシティ」 開業1カ月で55万人来場のワケ
サッカースタジアムを核とする「長崎スタジアムシティ」の集客が好調だ。試合がない日にもかかわらず、多くのにぎわいを見せているのはなぜか?



