「チョコモナカジャンボ」はまだ完成していない? 外国人が注目する“日本限定アイス”の裏側(5/5 ページ)
森永製菓の「チョコモナカジャンボ」は、年間約2億個を販売するロングセラー商品だ。独自の「鮮度マーケティング」と、パリパリ食感を守る技術で国内外から支持され、訪日外国人にも人気を集めている。
「姉妹商品」のブランディングが課題
一方で、ブランディング面における課題もある。2013年から発売する姉妹品「バニラモナカジャンボ」だ。「チョコモナカジャンボから、チョコを抜いただけと思われがちで、損した気分になるから買わないという意見が多い」と中村さんは語る。
同社によると、バニラモナカジャンボのほうが原価も高いという。しかし、その違いが十分に伝わっていないのが現状だ。
実は、使用しているバニラアイスのグレードもそれぞれ異なる。チョコモナカジャンボはチョコとのバランスを考えてアイスミルクを採用しているが、バニラモナカジャンボは、よりリッチな乳脂肪分が高いアイスクリームを採用している。
モナカにもアーモンドパウダーを入れて洋菓子風にするなど、バニラアイスと合う品質にこだわっている。
筆者もチョコの有無だけの違いと思っていたが、実際に食べ比べるとその違いがはっきりと感じられた。バニラモナカジャンボのバニラアイスはより濃厚で、チョコモナカジャンボのバニラアイスは、センターチョコとのバランスを重視した設計になっている。
同社は「バニラモナカジャンボのほうが原価が高い」という動画をSNSで発信するなど、大胆な手法で差別化を訴求し、バニラアイス好きの顧客層を取り込むことで、ブランド全体の成長を目指す方針だ。
コストの上昇や気候の変化による出荷予測の難しさなどの課題もあるが、森永製菓はパリパリ食感のさらなる向上を目指して取り組んでいる。「チョコモナカジャンボはまだ完成されていない」を合言葉に、現在も吸湿遅延技術の検討を進めている。
年間2億個という販売実績を誇るチョコモナカジャンボは、「鮮度」にこだわる戦略で成果を上げてきた。加えて、近年では「日本でしか食べられないアイス」というブランディングでインバウンド市場も開拓しつつある。寿司やラーメン、焼き肉など、訪日客に人気の定番フードの中に、チョコモナカジャンボが加わる日もそう遠くないかもしれない。
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