連載
不動産営業が「押し売り」にならないようにするポイントとは? カギは「4つのステップ」(1/4 ページ)
都心部で億ションが林立するなど、地殻変動を続けている不動産業界。いま、その営業担当者に求められているポイントとは何か。識者が解説する。
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどで小売業・消費財メーカーを担当。2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
前回の記事(『問題は「億ションの増殖」だけではない これから不動産業界に起こる「地殻変動」とは』)では、不動産業界全体を概観しました。今回はその市場環境下の中で各社にはどのような営業スタイルが求められるか、現場の営業編としてお送りします。
まずは前回を簡単におさらいしましょう。今後は2040年までに下記のような変化が生じることが予想されます。
- 団塊世代の大相続が始まり、中古マンション・戸建て市場の供給余剰が加速して中古物件が売れにくくなる
- 都市部の土地、マンションの高騰が継続し、新築を購入できる所得層がさらに限られていく
- 中古市場が低価格化する中、資材、物流、人件費の高騰によって利益を圧迫していく
- 国内の人口が減少していく中で物件の供給余剰、限られた需要の競争性はさらに高まる
このような市場では次のようなポイントを押さえることが求められます。
- 営業の短期化、施工の短期化、広告費最小モデルによる低価格物件でも収益を確保できるようにする
- 低価格で顧客目線の営業品質による受注率向上・件数増加
- 中価格で高品質・高対応、土地探し・設計・建築・セキュリティまでのトータルサポート
- 単身、海外転入・転出、富裕層、気密性、医療連携など特化したセグメントで強みを確立
- 中古マンションや空き家の再生力・活用力(リノベーション、古民家カフェ、民泊、オフィス活用、外国人向けサービスなど)
では不動産業界の主要プレーヤーは今、どのようなポジションにあるのでしょうか。まずは次の図を見てください。戸建て住宅を例に、縦軸が価格、横軸がカスタマイズ性の高さで、顧客属性(赤色)と不動産会社が多いゾーン(青色)を示したものです。
カスタマイズ性を求めれば求めるほど価格は高くなりますから、必然的に購入する所得層も高めになります。反対にカスタマイズ性を求めず、とにかく予算重視でマイホームを建てたい層にとっては規格型でローコストな住宅が喜ばれることになります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

