生成AIに「プロンプトは必要ない!」 日本マイクロソフト役員が断言するワケ
「プロンプトは必要ない」――生成AI活用に必要なプロンプトについて、日本マイクロソフトの業務執行役員でエバンジェリストの西脇資哲氏はこう断言した。西脇氏が考える生成AIの正しい活用法とは。
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本記事の内容は、RX Japan(東京都中央区)が6月25〜27日に開催した「第23回 総務・人事・経理 Week」内で実施された「カイシャのミライ カレッジ」のセミナー「生成AI×バックオフィス①(AIトランスフォーメーションの現状と未来)」の内容を要約したものです。
「プロンプトは必要ない」――生成AI活用に必要なプロンプトについて、日本マイクロソフトの業務執行役員でエバンジェリストの西脇資哲氏はこう断言した。西脇氏が考える生成AIの正しい活用法とは。
プロンプトは不要、どうやって生成AIを使えばいいのか
2022年11月に登場したChatGPTを皮切りに、生成AIは急速にした。インターネット上にある大量のデータを学習した生成AIは、世界中の多くの公開情報を網羅し、世界中の言語を理解。米国のMBA(経営学修士課程)の最終試験や医師免許試験、司法試験で合格するレベルの能力を持っている。「生成AIの登場により、こうした能力を全社員や組織全体で使えるようになった」(西脇氏)。多くの人が活用する一方で、「思ったより使えない」「うまく使いこなせない」と悩んでいる人も多い。
生成AIの活用には、プロンプトが欠かせないというのが一般的な認識だ。しかし、西脇氏は「生成AI活用のためにプロントを勉強する、という現状を変えたい」と話す。
「同僚に話しかけるとき、私たちはプロンプトなんか使わないし、プロンプトに沿って会話もしない。自然言語で話しかけている。それと同じように、生成AIも自然言語の指示で十分使える」
西脇氏は、生成AIを使いこなせない人、思ったように使えない人について、「適当な指示で生成AIに過剰な期待をしている」と指摘する。「『〇〇の資料を作って』と指示するだけで完璧な資料が作られると思っているが、実際は適当にプロンプトを打つと“コレジャナイ感”が満載の資料ができる。その結果『これは使えない』『もう二度と使わない』と落胆している」(西脇氏)
だが、適当に指示して思った通りの結果が出ないのは、対人でも同じであると西脇氏は話す。Google検索のような指示から脱却し、普段使っている言葉で丁寧に伝えながら一緒に100%の完成度にしていくのが正しいやり方なのだ。「思った通りにいかないと嘆く前に、『思っているだけではできない』『伝えなきゃできない』ことを理解しなければならない」と西脇氏は力説する。
西脇氏は「AIに仕事を奪われることは100%ないと断言できる。だが、AIを使いこなしている人に仕事を奪われるのだ」と話し、セミナーを締めくくった。ChatGPTの登場から3年余り。当たり前だと思われていた生成AIの活用法をあらためて見直すことが、仕事を奪われない人になる一歩かもしれない。
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