「Agodaのシステムには何らかの問題がある」 ホテル業界が名指しで批判しても、事態が改善しなさそうな理由(3/3 ページ)
オンライン旅行代理店「Agoda(アゴダ)」がホテル業界から名指しで批判を受けている。しかし、アゴダにとっては特に深刻な影響はなさそうで……。
重層化もトラブルの一因だ。宿泊業者とOTA間の仲介業者は1社だけではなく、何社にも重なっている場合が多い。Agoda自身も「Beds Network」というサービスを展開し、宿泊施設から仕入れた空室を他社に卸売りしている。つまりAgodaもOTAであると同時に仲介業者なのだ。各社がミスをする確率が低くても、仲介業者が重層化することで、結果として全体のミス発生率は高まる。
それでもAgodaはなくならない
ホテル各社が注意喚起を発したとはいえ、業界にとってAgodaは重要な存在だ。海外OTAの関係者は次のように語る。
「海外OTA利用者の多くがインバウンドであり、日本人利用者は少数派です。インバウンドは言語の問題でホテルサイトでの直接予約ができず、日本のOTAも利用しません。ホテル側は外国人客との直接的なつながりを持たないので、Agodaのような海外OTAに頼るしかないでしょう。なお、予約トラブルの問題は以前からたびたび発生しており、6月に表面化したに過ぎません」
インバウンドの増加で客室単価の高騰が続く昨今、海外OTAを通じた予約客はホテルにとって太客だ。関係者が話すように外国人が主であり、日本人利用者が減ったところで、Agoda騒動が彼らの耳に入る可能性は低い。転売や仲介業者の重層化と多くの問題を抱えつつも、Agodaの体質改善は進まない可能性は高い、と言えるかもしれない。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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