コラム
なぜ日暮里駅は“通過点”の印象が強いのか 1日25万人が利用する駅の静かな現実:鉄道の「雑学」(3/3 ページ)
複数の路線の接続駅であり、乗降人員も多い日暮里駅。しかし、駅ナカは小さく、利用者数の割には発展していない印象が強い。それは、なぜなのか?
地形や線路による制約も
前述の通り、日暮里駅周辺は地形の高低差が大きい。そして、駅自体も、多くの線路が交差しているにもかかわらず敷地が非常に限られている。そのため、東北本線や高崎線はホームを設けられず、京成電鉄も「スカイライナー」のため多層構造の駅にせざるを得なかった。
線路を設けるためのスペースは確保できても、その上に建物を作るほどの余裕はない。無理をして建物を作ろうとすれば、かなりの手間がかかるであろうことが、現地に行けば一目瞭然だ。どのような手順で工事用の資材や車両などを入れれば良いのか、簡単には考えつかない場所にあるのが日暮里駅なのだ。
しかも、近くには上野という巨大なターミナル駅がある。商業用施設建設のために工事をするには、あまりにも手間がかかりすぎる日暮里駅を無理に大きくするよりは、上野駅に行ってもらった方が良いとも考えるのは自然なことだろう。「日暮里駅の施設を拡充させるより、上野駅に集約したほうが合理的」と、JR東日本も京成電鉄も考えていてもおかしくない。
このように、重要な拠点ではあるものの、地理的な制約もあり、大規模開発は難しい――それこそが、日暮里駅の最大の特徴であり、「乗降者数は多いのにあまり発展しない」最大の理由ではないだろうか。
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