コラム
なぜ日暮里駅は“通過点”の印象が強いのか 1日25万人が利用する駅の静かな現実:鉄道の「雑学」(2/3 ページ)
複数の路線の接続駅であり、乗降人員も多い日暮里駅。しかし、駅ナカは小さく、利用者数の割には発展していない印象が強い。それは、なぜなのか?
特徴的な、高低差のある土地
では、なぜ日暮里駅は駅ナカ施設さえ十分に整備されていないのだろうか。その理由は、駅周辺の複雑な地形にあると考えられる。
日暮里駅の西側には、崖のような急な斜面が広がっており、その上には谷中霊園や天王寺が位置している。駅自体も、この高台の縁に沿うような形で設けられており、地形的にギリギリの場所に立地している。谷中霊園は広大で、駅ホームとの間にも明確な高低差がある。
一方、駅の東側は、西側とは対照的に低地である。京成電鉄の日暮里駅は、JRの駅の東側に位置しており、地盤がJRのホームよりも一段低い。そのため、日暮里駅は水平方向にも垂直方向にも、拡張の余地がほとんどない。
こうした地形的制約によって、大規模な開発や再整備が難しいという事情が、日暮里駅の発展を阻んできたのだ。
また、駅周辺の道路構造も、こうした「地形的な制約」を象徴している。JR日暮里駅の西口を出た先の道路は、線路をまたいだ後、北口の前で直角に折れ曲がり、京成日暮里駅に沿って急な坂道を下る。その坂道の先にロータリーがあり、駅前の動線も非常に複雑だ。
日暮里・舎人ライナーの駅もまた、地形の影響を強く受けている。JRと京成の駅とは接続しているものの、東側のロータリーのすぐ上、かなり高い場所に設置されており、地上との高低差は想像以上に大きい。アクセスに大きな問題はないが、さまざまな施設を配置できるほどの余裕はほとんどない。
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