「朝サイゼ」開始で競争激化!? 喫茶店以外でも参入が進む「朝食戦争」 24時間提供するチェーンも:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
喫茶店にとどまらず、さまざまな業態の飲食チェーンがモーニングを提供し始めている。各社のメニュー戦略を解説する。
朝から晩まで「モーニング」を提供するチェーンも
朝から晩までどの時間に行っても、モーニングが食べられるのが、ファミレスの「ジョイフル」だ。正確には午前5〜10時に提供する「おてごろモーニング」と、いつでも注文できる「まんぞくモーニング」の2種類がある。後者は5種類あっていずれも1000円未満、全品ドリンクバー付きだ。今時、深夜にこの価格で、飲み物まで付くメニューはなかなかないだろう。
ファミレス「ココス」では一部店舗で30種類以上のメニューを取りそろえたバイキングのモーニングを提供している。毎日実施する店舗と休日のみの店舗に分かれ、90分制で利用は午前11時30分まで。価格は店によって異なるが、1200円までに収まる。
牛丼各社は、そろって安価だ。吉野家の「朝牛セット」は並盛牛丼552円に加えて、生玉子など5つの小鉢から1つを無料で選べ、みそ汁が付く。すき家は「牛まぜのっけ朝食」がご飯並盛420円。牛皿の小鉢、温玉とオクラ、削り節、みそ汁が付く。
松屋の「とろっとたまご丼」は、丼鉢に入ったご飯の上に玉子焼が乗っている。漬け物、海苔、みそ汁が付いて400円。「得朝牛皿定食」も400円。系列の「松のや」や「マイカリー食堂」でも朝食メニューを提供している。「なか卯」はご飯に生卵、漬け物、のりとみそ汁が付いた「こだわりたまご朝食」が290円。これらのチェーンは鮭、納豆などが付いた、日本人好みな朝食もワンコイン程度で提供しており、客層の間口が広い。
夏の期間限定で、ガストがモーニングでうな重を提供している。お吸い物、漬物付きで1500円を切る価格となっており、リーズナブルだ。どれだけのニーズがあるのか、注目される。また、うなぎ2倍で2000円を少し超えるメニューもある。
こうして見ると、忙しい通勤・通学前に軽く朝食を済ませたいとき、休日やテレワークでゆったり過ごしたいとき、シニアのコミュニティとして機能する場合など、さまざまなターゲットに対して各社がモーニングメニューを提供している。ライフスタイルに応じて、モーニングを自由に選べる時代となっており、今後の進化が楽しみだ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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