「10兆円ファンド」支援対象の東北大 理事・副学長に聞く「日本型研究人事」の課題:東北大学の挑戦(3/4 ページ)
東北大学は、グローバルで活躍する主に日本の若手研究者を客員教員として招聘し、社会実装や産学共創を促進する新たなプラットフォーム「ZERO INSTITUTE」を設立した。卓越大になって東北大は何が変わっているのか。ZERO INSTITUTE設立の狙いは何か。青木孝文理事・副学長に聞いた。
「教授会中心主義」がもたらす変革の壁
――東北大は「実学尊重」の理念を掲げています。その理念を実現するために、産学連携の壁となっている組織論をどう変えていこうとお考えですか。
普通の大学でなぜこうした変革が難しいかというと、大抵は教授会で人事などの重要事項が決まるからです。教授会が決定権を持っている限り、「これまでの慣例を変えることはできない」「これは規定に合わないから認められない」といった固定観念に縛られてしまいがちです。東北大よりも立派な大学であっても、最終的に教授会の意思決定に依存していると同じ壁にぶつかります。
――産学連携だけでなく、研究力の強化という面でも流動性を高めていくことは重要だと思いますが、いかがでしょうか。
まさにその通りです。われわれとしてはルールを柔軟に運用し、「こういうケースも認めましょう」といったフレキシブルな姿勢を持てば十分に対応できると考えています。日本の大学では、自ら厳しい自己規制を設けてしまっている場合が多く、「こうしなければならない」といった固定観念や都市伝説のような考え方が根付いています。しかし、その枠を一度壊してみると、意外と問題なく物事が進むことも少なくありません。
――大野英男前総長も講座制からの改革など、さまざまな仕組みを変えてきました。
それも結局、固定観念の積み重ねでできたものを変えてきた結果なのです。例えば日本でいう「助教」「准教授」「教授」という肩書きは、英語で言えば「アシスタントプロフェッサー」「アソシエイトプロフェッサー」「プロフェッサー」と訳されます。海外の場合はいずれも「プロフェッサー」としてのグレードが違うだけです。
ところが日本の大学・研究機関では、それぞれの役職を特定の義務や制約とセットで運用しています。研究者自身さえ「これは当たり前」と思い込んでいますが、実際には海外から見ると全く異なる構造になっている。そこに妥協や柔軟性を持たせないと、なかなか時代に合った組織や制度になりません。所属についての考え方も同じです。
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