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なぜ日本のチェーンは「中国市場」を攻略しきれないのか 吉野家、サイゼに立ちはだかる「1000店舗の壁」(2/3 ページ)
巨大な市場を夢見て、これまで日本の外食チェーンが続々と海外に進出してきたが、なかなかブレークできていない。その要因は何か。
「日本式」で失敗した餃子の王将
餃子の王将は2005年に遼寧省で海外1号店を出店した。日本では焼き目のついた薄い皮の焼餃子が好まれる一方、中国では厚い皮の水餃子が主流だ。また、餃子は主食として食べるものであり、日本人のようにご飯と一緒に食べる習慣はない。
だが王将は「日本式」の焼餃子で勝負し、日本と同じくチャーハンや他のメニューとのセットで提供した。全体的な料理の味付けも日本と同じで、あえて現地化しなかった。
しかし出店は6店舗にとどまった。現地では焼餃子は間食や食材の温め直しなどで食べられることが多く、受け入れられなかったのが原因だ。おかず類も価格が高く、地元の店から客を奪うことができなかった。
結局10年間で2億円以上の赤字を計上し、2014年には現地法人を解散した。日本式に対する過信で失敗したといえる。
当然ながら中国で成功するには「中国人が好む」味にしなければならない。先行例が熊本発の豚骨ラーメン店「味千ラーメン」だ。
同チェーンは国内に66店舗しかないが、中国では約600店舗を展開する。同社は中国展開には消極的だったものの、香港の実業家である潘慰氏が「この味なら行ける」と判断し、フランチャイズ展開にこぎつけた。
1996年に香港で店舗を構え、2007年には現地企業の味千(中国)控股有限公司が香港市場に上場した。 豚骨ラーメンは日本が発祥だが、その濃厚な味に中国人が親しみを感じているようだ。国内の一蘭や一風堂も中国人観光客に人気だが、醤油ラーメンや味噌ラーメン店の話題は聞こえてこない。
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