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なぜ日本のチェーンは「中国市場」を攻略しきれないのか 吉野家、サイゼに立ちはだかる「1000店舗の壁」(3/3 ページ)

巨大な市場を夢見て、これまで日本の外食チェーンが続々と海外に進出してきたが、なかなかブレークできていない。その要因は何か。

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成功したチェーンでも「1000店舗の壁」は越えられていない

 サイゼリヤは2003年に上海へ出店した。メニューの構成は国内と似ており、ミラノ風ドリアやティラミスなども提供している。一方で麻辣意面(スパゲッティ)やドリアンピザ、レタスにフルーツが乗ったサラダなども提供し、現地化の工夫も見られる。サイゼリヤは中国進出以降、メニューの改良を進め、現地の好みに合わせてきた。

 中国では1990年代からピザハットがレストランとして展開していたが、サイゼリヤは日本と同じく低価格路線を進めた。客単価は800円台で、1500円台のピザハットより安い。現地のローカルフードより高いものの、中国では比較的高級な料理として認識されていたイタリアンを低価格で提供し、消費者を引きつけた。昨今では節約志向の高まりで人気だという。

 約600店舗を展開する吉野家も、中国で成功を収めたチェーンといえる。1992年に進出し、回鍋肉丼やあんかけの鰻定食を提供するなど、現地化を進めてきた。

 ここまで、成功例としていくつかの会社を挙げたが、いずれも1000店舗を超えていない。サイゼリヤ、吉野家は国内で1000店舗以上を展開しており、現地の人口を考慮すると小規模だ。

 日本の外食チェーンにとってネックとなるのが価格の高さだ。日本と同程度か少し安い価格で提供していることが多く、ローカルのチェーンと比べて価格競争力に劣る。日本人と同じ購買力を持つのは10人に1人程度であり、日本企業がターゲットにできるのは単純計算で1.4億人程度だ。

 つまり、購買力の観点から見ると、中国市場は日本市場と大きな差はない。その上でメニューの現地化も求められる。また、和洋中から料理を選ぶ日本人と異なり、彼らが外国料理を選択する機会は少ないため、ポテンシャルも低い。

 前述のくら寿司や餃子の王将に加え、丸亀製麺やはなまるうどんなども、夢破れて撤退してきた。「ココイチ」やペッパーランチも、出店しているものの100店舗すら達成していない。100兆円という中国の外食市場は巨大だが、日本企業が入り込める余地は小さいと考えられる。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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