キリン、ノンアル新ブランド 「15倍の潜在市場」狙う
キリンビールは、ノンアルコールチューハイの新ブランドキリン 氷ゼロ スパークリング」を発売する。拡大するノンアル市場を背景に、従来の「事情があるときに仕方なく飲むもの」というイメージからの転換を狙う。
キリンビールは8月26日、ノンアルコールチューハイの新ブランド「キリン 氷ゼロ(ひょうぜろ) スパークリング シチリア産レモン」を全国で発売する。さらに10月28日からは、期間限定で「キリン 氷ゼロ スパークリング グレープフルーツ」も販売する。
ノンアルチューハイを普段飲まないチューハイ好きの顧客をターゲットに、「爽快感」とお酒のような「飲みごたえ」をアピールする。「キリン 氷ゼロ スパークリング シチリア産レモン」では、シチリア産のレモンを100%使用し、搾りたてのレモンのような香り、味にこだわったという。
キリンビールの調査によると、ノンアルRTD(レディ・トゥ・ドリンク、栓を開けてそのまま飲めるアルコール飲料)市場は近年大きく拡大しており、2024年には2017年比で約2倍に伸長した。背景には、健康志向の高まりや価値観の多様化があるという。同社は2025年8〜12月で「キリン 氷ゼロ スパークリング」約30万ケース(350ミリ缶×24本換算)の販売を目指す。
ノンアルを月に1回以上飲むヘビーユーザーは約440万人にとどまる一方、運転時など事情があるときに限定的に飲む層や、普段は酒を飲むがノンアルは選ばない層といったノンアルライト・ノンユーザーは約6700万人に上る(キリンビール調べ)。
同社マーケテイング部カテゴリー戦略担当カテゴリーマネジャーの木村正一氏は「ライト・ノンユーザーはヘビーユーザーの約15倍のポテンシャルがある」と説明。ノンアル飲料の位置付けについて「事情があるときに仕方なく飲むものというお客さまの認識を、生活を豊かにしてくれる飲み物へと変えていきたい」と話した。
同社はノンアル商品の販売について、金額ベースで前年比12%増の目標を掲げている。2025年下半期マーケテイング投資額は2024年下半期比で2倍に増やす方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「若者の酒離れ」に風穴 サントリー“最古の工場”65億円で刷新、世界一目指す「ジン戦略」の勝算は
ジン市場が5倍に成長する中、サントリーが「ROKU」で世界2位に浮上。大阪工場に55億円を投じ、若者の心をつかむ“次の一手”とは。
わずか4分で1億円を突破! 飲めるのは「20年後」なのに、なぜキリンのウイスキーは“即完”したのか
発売からわずか4分で1億円を突破し、即日完売したキリンのウイスキー。その実物が届くのは20年後という“異例の設計”には、ある開発者の想いと、緻密な仕掛けがあった──。


