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「最初から面白い仕事なんてない」──電通29歳クリエイターが語る、“名刺”になる仕事の作り方教えて!あの企業の20代エース社員(1/3 ページ)

「最初から面白い仕事なんて、本当にないんですよ」──電通のクリエイティブディレクター鈴木健太さん(zero CRディレクション1)は、若手クリエイターが陥りがちな"待ちの姿勢"についてこう語った。

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 「最初から面白い仕事なんて、本当にないんですよ」──電通のクリエイティブディレクター鈴木健太さん(zero CRディレクション1)は、若手クリエイターが陥りがちな"待ちの姿勢"についてこう語った。

 広告業界では、多くの若手が「いつか大きな案件を任されたい」「もっとクリエイティブな仕事がしたい」と願いながら、その機会を待ち続けているケースが多い。オリエンテーションで与えられた仕事を淡々とこなし、上司からの指示を待つ日々。しかし、そうした受け身の姿勢では、本当に面白い仕事にはたどり着けないという。


電通のクリエイティブディレクター鈴木健太さん(提供:電通)

 鈴木氏は電通入社後、ポカリスエット、Hondaなどの広告の企画や、Tinderといったプロダクトの広告案件においてクリエイティブディレクターを任されてきた。現在は国内外含め、多くの実績を持つクリエイティブディレクター集団「zero」に所属。そして2025年3月には、社内で起業家支援のクリエイティブインキュベーター「Firstthing」を立ち上げ、広告の枠を超えた活動を展開している。

※参考:A_o(アイナ・ジ・エンド&ROTH BART BARON)、ポカリ新CMソング「BLUE SOULS」MV公開

 鈴木氏は個人で映像作家としても活躍。過去にはYOASOBI、imaseのMV制作を手掛けてきた。

 現在29歳。なぜこの若さで、第一線で活躍できているのか。その独自のキャリア形成と、面白い仕事を「仕立てる」実践的なメソッドを聞いた。

「就活は一切していない」

 鈴木氏のキャリアは少し特殊で、本人も「参考にならないですよ」と苦笑する。2017年からDentsu Lab Tokyoに非常勤社員として参加し、2019年に電通に新卒入社。就職活動は一切していないそうだ。

 このユニークな経歴の原点は、小学3年生の時にさかのぼる。

 「家にあったiMacを触っていたら、Flashというソフトを見つけて。これでアニメーションが作れるんじゃないかと思ったんです」

 独学でアニメーション制作を始め、小学6年生の時にNHKのとある番組に出品した作品が高い評価を受けた。そこからさらに、映像制作の面白さにのめり込んでいったのだ。

 高校生になると、ネット上で仲間を募り映像制作チームを立ち上げた。その後美術大学に進学したが中退。それからしばらくはフリーランスとして、ラブリーサマーちゃんをはじめとするアーティストのミュージックビデオを次々と手掛けた。

 そんな鈴木氏が広告業界に興味を持ち始めたのは2016年。「当時のDentsu Lab Tokyoが携わった映像を見て衝撃を受けた」のだという。

 「同じ国にこんなにクリエイターがいて、いろんなものを作っている。それが純粋に、めちゃくちゃすごいなって感じたんです」

 インターンに応募し、広告クリエイティブの現場を体験。そこで、「興味がない」と思っていた広告と、鈴木氏のキャリアがリンクした。

 「自分がフリーでやってきたことが、実は広告の仕事とすごく近かった。言葉の領域、デザインの領域、それぞれがつながっていると感じました」

 例えば、ミュージックビデオ制作の経験。広告クリエイティブ制作にもダイレクトに生きたと言う。

 「ミュージックビデオを作る時って、アーティストと深く対話をするんです。その人の世界観をどう描くか、3年後にこの人はどうなっているかを、話しながら考える。これって、広告クリエイティブを作るときもほぼ同じなんですよね」

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