「ケンカできる総務」が会社を変える 経営を動かす“発信力”の磨き方:「総務」から会社を変える(4/4 ページ)
現場の細部まで把握できない経営層にとって、判断材料となるのは各部署が限られた時間の中で上げてくる情報だ。経営層に対して「何をどう伝えるか」は力量が問われる。今回は、総務の経営層に対するコミュニケーションについて考えてみよう。
「ケンカできる総務」を目指せ
こうした報告の質を支えるのは、経営層との信頼関係だ。「この総務の言うことは信じられる」と思ってもらえるようになることが、全ての基盤になる。
そのためには、定期的に非公式なコミュニケーションを持ち、経営層が今何に関心を寄せ、何を課題と感じているのかを把握する努力が必要だ。机上の資料だけでなく、自ら現場に足を運び、一次情報をもとに報告することも欠かせない。そして、提案をしたらその後の経過や成果をフォローアップし、結果を見える化することが信頼の積み重ねになる。
全社最適のために必要であれば、経営層に対しても意見できる「ケンカできる総務」を目指すのはどうだろうか。単なる反発ではなく、経営層と同じ方向を向きながらも是々非々で意見を交わす姿勢を、ある会社の総務部長は「すごみのある総務」と表現している。
総務は、単なる事務方やサポート部門ではない。経営層の意思決定を支える羅針盤の一部であり、会社の未来を形づくる存在だ。日常から情報を集め、経営視点で翻訳し、確信をもって発信する。その積み重ねが経営層とのパートナーシップを強化し、結果として組織を強くする。
「総務は会社を強くする最後の砦であり、未来をつくる部署」だ。経営層とのコミュニケーションは、その集大成を示す舞台。単なる報告の場ではなく、企業の未来を共に描くための対話の時間として生かしていくべきだ。
著者プロフィール・豊田健一(とよだけんいち)
株式会社月刊総務 代表取締役社長/戦略総務研究所 所長/(一社)FOSC 代表理事/(一社)IT顧問化協会 専務理事/(一社)日本オムニチャネル協会 フェロー
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)FOSC代表理事、(一社)IT顧問化協会専務理事、(一社)日本オムニチャネル協会フェローとして、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。
著書に、『リモートワークありきの世界で経営の軸を作る 戦略総務 実践ハンドブック』(日本能率協会マネジメントセンター、以下同)、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』、『経営を強くする戦略総務』
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