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万博で話題「動くごみ箱」、何がすごい? 実用化が進む「スマートごみ箱」の現在(3/3 ページ)

万博で「動くごみ箱」が話題だ。すでに実用化している企業もいくつかあり、インバウンドの流入が多い自治体では導入が進むかもしれないが、課題もある。

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サイネージを搭載したごみ箱も登場

 エルコムのスマートごみ箱「Reebo」は、圧縮機能とサイネージを有する。圧縮機能では従来ごみ箱と比較して4倍の収容力を持つとうたう。ごみで一杯になった場合はメールで通知するほか、スマホやPCでごみ箱の状況をリアルタイムにモニタリングできる。こうした機能はSmaGOと同じだ。ちなみにエルコムはオフィスや工場などのバックヤードで使うごみ圧縮機「PREMO」を開発しており、フロントヤード製品としてReeboを開発した。


エルコムのReebo(出所:同社公式Webサイト)

 Reeboの大きな特徴は、前述の通りごみ投入口の上にサイネージを搭載している点だ。TOPPAN製のAIモニターを搭載し、人流解析やサイネージ広告を投影できるとしている。2024年7月には札幌・すすきのにある商業施設「COCONO SUSUKINO」で実証実験を行い、同10月には神奈川県の新百合ヶ丘駅前にある商業施設「新百合ヶ丘エルミロード」で実験を行った。電源が必要なため、屋内など設置箇所は限られる。

 近年、電車内やエレベーター、タクシーの座席など至るところでサイネージが見られるようになった。ファミリーマートも店舗内のレジ上に設置している。こうしたサイネージは消費者の待ち時間をターゲットにして広告を配信している。ただし、ごみ箱に近づく滞在時間は短いため、ごみ箱サイネージの効果は限定的かもしれない。

インバウンドに頼るなら、導入は必要だ

 昨今では京都など、国内観光地でごみ問題が課題となっている。ごみ箱があっても不足しているため、満杯になったごみ箱の周辺に置かれることも多い。日本人の間では「自分で出したごみは家に持ち帰る」という認識が定着しているが、外国人が同じ認識とは限らない。

 インバウンドに頼る以上、観光地ではごみ箱の設置は急務だ。自治体は上記のようなスマートごみ箱を設置するのも手だろう。現状、京都市はSmaGOを企業の寄付でまかなっており、市でお金は出さない方針を採っているが、宿泊税を引き上げるなどしてごみ対策費を捻出すべきだろう。

 各自治体は1990年代以降、飲食店によるごみの投入や家庭ごみの持ち込みなど周辺住民のモラル違反を背景に、ごみ箱を撤去してきた経緯がある。こうしたモラル違反にも対処するには「特定の人に対しては投入口を開けない」など、さらなるテクノロジーが必要となるかもしれない。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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