企業のサステナビリティの取り組み、生活者に「自分の話」にしてもらう方法は? JERA・味の素の事例で解説(3/4 ページ)
企業のサステナビリティの取り組みを、生活者に「自分の話」にしてもらう方法はあるのだろうか。
博報堂のアプローチ
小田部: 「博報堂SXプロフェッショナルズ」では、さまざまなサステナビリティ関連調査を行っていますが、今回は、「サステナブル購買行動調査」と「生活者の脱炭素意識&アクション調査」についてご紹介します。
まず、「サステナブル購買行動調査」ですが、この調査は、サステナブルマーケティングでの活用を目的として、生活者の購買行動や社会意識について詳しく探ったオリジナル調査です。SDGs認知・関心度や社会購買の実践度と意識など、いくつかの聴取項目を設定し、オリジナルのサステナブルクラスターを導き出しているのが特徴です。
SDGs認知、社会購買に関する経験、社会行動全般に対する実践度などを聴取し、「食料・日用品」「化粧品」「ファッション」それぞれのジャンルでのクラスターを抽出しています。
なかでも「食料・日用品」のジャンルでは、「社会貢献ショッパー」「安心安全ショッパー」「トレンド重視ショッパー」など8つのクラスターをプロファイルし、それぞれのボリュームとSDGs認知を数値化しています。
「生活者の脱炭素意識&アクション調査」は文字通り、日本の生活者に脱炭素の意識がどのぐらい浸透しているかを把握するオリジナル調査です。脱炭素に関する名称認知、脱炭素社会への取り組み切迫度、脱炭素に向けた行動実態などを詳細に分析しているので、ぜひご活用いただきたいと思います。
島田: 私からは、生物多様性やネイチャーポジティブに対応したソリューションについて紹介させていただきます。
今、世界は人口の増加や経済の成長発展に伴いネイチャーネガティブな状況にあり、2022年の世界会議(COP)では、国際ルールの議定書や世界目標の作成など、生物多様性に関する枠組みが採択されました。
ネイチャーネガティブな状況を、ネイチャーポジティブに転換しようとして世界が動き始めている環境下で、ネイチャーポジティブへの転換の波は、日本の企業にもやってきています。
そこで私たちが開発したのが、ネイチャーポジティブの転換やネイチャーポジティブエコノミーの実現に向けて、企業を支援するソリューション、「ネイチャーポジティブスタジオ」です。
「ネイチャーポジティブスタジオ」は、未来の生活者発想を起点に、ネイチャーポジティブの未来の姿を描き、それを実現するためのビジネスアクションの立案支援や、コミュニケーション戦略の設計・実行までを包括して支援するソリューションです。
サステナビリティへの取り組みは、企業にとってのコストと思われがちです。ですが、ネイチャーポジティブスタジオは、ソリューションの開発提供に加えて、「未来の生活者発想やネイチャーポジティブが、コストではなくビジネス機会へのチャンスである」という考え方を知っていただくためのセミナーや、ネイチャーポジティブの食や都市をテーマにしたワークショップを定期的に開催しています。
私たちが提供するソリューションは、ネイチャーポジティブをコスト負担ではなく、ビジネスに新しい価値を生み出す、ビジネス機会として捉えることで、生活者や社会の新たなニーズの発掘、持続可能な良質な自然資本の調達、イノベーションなど、商品やサービスの価値を高める要素の発見を目指しています。しかも付加価値に変えていくことで、バリューチェーンをポジティブなスパイラルに転換していくことができます。
ネイチャーポジティブスタジオでは、
- 「Future Design〜ありたい未来の創造」
- 「Business Design〜ビジネスアクションの創出」
- 「Communication Design〜新しい価値・マーケットの提案」
──という3つのアプローチから、その企業らしいネイチャーポジティブの価値を見える化し、ビジネス機会の創出を支援します。
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