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「JAL」「ケンタッキー」の事例から考える サステナビリティを「コスト→ブランド価値」に変える方法は?(1/2 ページ)

サステナビリティを「コスト→ブランド価値」に変える方法はあるのでしょうか。

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この記事は、博報堂が運営するBIZ GARAGEが2025年4月21日に掲載した「【企業取り組み事例】サステナビリティを「コスト」から「ブランド価値」に変える|ウェビナーレポート(前編)」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。


 2024年10月24日、企業のサステナビリティへの取り組みをテーマにウェビナーを実施しました。本記事ではその模様をお伝えします。

 ウェビナーでは、幅広い領域のSXに関する経験と専門性を持つ博報堂メンバーが登壇。企業のサステナビリティへの取り組みコストを、ブランド価値に転換するための視点・ポイントとは何かについて語りました。

登壇者

辻田敏宏

博報堂 ストラテジックプラニング局 エグゼクティブルーム エグゼクティブビジネスプラニングディレクター

兎洞武揚

博報堂 生活者発想技術研究所 主席研究員 グループマネージャー

小田部巧

博報堂 ストラテジックプラニング局 部長 イノベーションプラニングディレクター/SXプロフェッショナルズ EARTH MALL プロデューサー

原節子

博報堂DYホールディングス ストラテジックデザイン事業戦略室/博報堂 ブランドデザインユニット事業経営企画室 室長補佐 チーフイノベーションプラニングディレクター

舟橋一晃

博報堂 ストラテジックプランニング局 チームリーダー チーフマーケティング ディレクター

島田圭介

博報堂 PR局 PRディレクター/広報コンサルタント

サステナビリティは「コスト→価値」に転換できる?

辻田: はじめに、「博報堂SXプロフェッショナルズ」についてご紹介させていただきます。博報堂DYグループでは、

  • SDGs17アイコンの日本語コピー開発
  • SDGs169TARGETSアイコンの日本語版制作
  • 国連気候キャンペーンシンボルクリエイティブの開発

 など、サステナビリティ普及啓発への取り組みとして、さまざまなクリエイティブボランティアに参加すると同時に、得意先企業のサステナビリティ経営に向けたビジネスソリューションの提供を行ってきました。それを担ってきたのが、2019年に活動を始めた「博報堂SDGsプロジェクト」です。


写真はイメージ、ゲッティイメージズ

 この5年間、プロジェクトの活動を通して、サステナビリティを推進する組織の創設や、チーフサステナビリティオフィサーという役職の新設、脱炭素目標、統合報告書の一般化など、大きな変化も目の当たりにしてきました。

 その一方で、多くの企業では、取り組まなければならないことやコストが増え、そのコストを商品やサービスへの価値に反映できていないという課題が生まれました。

 そうした企業が抱える課題に応えるために、私たちは「博報堂SDGsプロジェクト」という活動をさらに拡充し、「博報堂SXプロフェッショナルズ」という新たな名称で、企業のビジネスや社会の仕組みにおけるサステナビリティトランスフォーメーションを推進することにしました。


「博報堂SXプロフェッショナルズ」(出所:博報堂、以下同)

辻田: 「博報堂SXプロフェッショナルズ」は、企業のサステナビリティへの取り組みを、生活者にとっての価値に転換すること、つまり生活者の心を動かす活動へと昇華させることで、経済的インパクトと社会的インパクトのダブルインパクトを実現しようと考えています。

 社会全体のSXが進まない、あるいはビジネスの成果につながりにくい理由は、企業や自治体のサステナブルな取り組みが、生活者にとって十分な価値を生み出していないからです。

 私たちは生活者価値デザインのプロフェッショナルとして、企業や自治体の取り組みを、生活者が実感できる、生活者の気持ちを動かす価値に転換・再設計します。そのために、いわゆる川上領域のパーパスや経営戦略から、川下領域のエグゼキューションまでを一貫して担い、生活者にとって、“買いたくなる、ファンになりたいと思う行動”を作っていきたいと思います。

 サステナビリティを“コスト”から、ブランドへの“投資”に変換する。それは商品やサービスの付加価値化を意味し(B2C)、社員にとっては働く意味を感じてもらうことにつながり(B2E※)、共創パートナーと共通目標を持ち、求心力のある実装を可能にします(B2B)。

※Business to Employeeの略。企業が従業員に対して商品やサービスを提供するビジネスモデル。

兎洞: 企業や事業のパーパスを、生活者価値ストーリーへと転換することで社内を駆動し、最終的に生活者に価値を届けるということについてお話させていただきます。

 みなさまも実感していると思いますが、社内でサステナビリティを企業の活動として実装させていく時に直面するのが、本社部門と事業部門などの組織の分断と思考の対立だと思います。

 “企業にとってのビジネス利益”と“社会インパクト”の関係を統合的かつ戦略的に構築するプロセスには、いろいろな壁が存在します。そうした課題を解決するために私たちが開発したのが「ダブルインパクト思考モデル」です。


経済インパクトと社会的インパクトを達成する思考モデル

 この思考モデルには以下の2つのポイントがあります。

  • 社会的インパクトと経済的インパクトをしっかり関係づけること
  • 短中長期の時間軸でインパクトを精緻に設計すること

 そして、流れを説明すると、次のようなモデルです。

(1)インパクトを与えたい対象に対して(ターゲット)

(2)現在と将来の強みを用い、巻き込みたい共創相手とともに(リソース)

(3)重要課題の解決を目指し(マテリアリティ)

(4)具体的な企業活動を行い(事業アクション)

(5)社会的インパクトと経済的インパクトの関係性を短期・中期・長期でしっかり考えて最終ゴール達目指していく(パーパス)

 すでにいくつかの企業で、この思考モデルを活用してダブルインパクト戦略ストーリーを策定いただいています。


ダブルインパクト思考モデルの特徴

 “目指す状態”の共有と、具体的な活動内容がどのように経済的インパクトと社会的インパクトにつながっていくのかが分かることで、サステナビリティ方針、マテリアリティ策定、目標数値設定、戦略的PR・コミュニケーション戦略策定のベースになります。

 また、それだけでなく、社内の合意形成のツールとしても機能し、それぞれのステークホルダーの共感ポイントの議論に役立てることができます。

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