MIXI、「ChatGPT Enterprise」全社員へ導入で「月1.7万時間」の削減 何をした?
MIXI(東京渋谷区)が、OpenAIが提供する企業向け成AIサービス「ChatGPT Enterprise」を3カ月で全社浸透させ、推計で月1万7600時間の業務削減を見込んでいると発表した。
MIXI(東京都渋谷区)は、OpenAIが提供する企業向け生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」を全従業員に導入した。同社は8月21日、全社導入から3カ月未満で、推計月1万7600時間の業務削減を見込んでいると発表した。
具体的にどのような業務を自動化し、月1万7600時間の業務削減を実現したのだろうか。
月1万7600時間の業務削減 どう実現?
同社では、全従業員を対象とした「ChatGPT 101 トレーニング」や、2025年入社の新卒社員向けワークショップのほか、エンジニア向けにOpenAI Agents SDKを使用したプロダクト開発のハッカソンを実施。生成AIの自律的な活用を支援する社内教育プログラムを提供し、高度な生成AI人材の育成を推進している。
こうした取り組みの結果、「ChatGPT Enterprise」のアクティブユーザー率(WAU)は全社導入から3カ月未満で80%に到達した。さらに、1800件を超えるカスタムGPTが自発的に作成されるなど、生成AIを使いこなす企業文化が着実に根付いた。
その他、各部署で多様なユースケースが生まれ、一部のプロジェクトでは業務時間の90%以上の削減を実現した。
「ChatGPT Enterprise」の全社導入から3カ月経過時点で活用状況アンケートを実施したところ、全社で月間約1万7600時間の業務時間削減が見込まれることが分かった。これは、利用者一人あたり月間約11時間の削減に相当する。さらに、利用者の99%が「生産性の向上」を、89%が「仕事の満足度向上」を実感していると回答した。
また、日常業務における主な活用方法については「文章コンテンツの作成と編集」が最も多い結果に。以降は「ブレインストーミングおよび創造的なアイデアの形成」「研究(オンライン調査、データ検索、情報の検証など)」と続いた。
具体的には、「通常30分〜1時間を要していた利用規約の確認作業が約10分で対応可能になり、月間で約40時間の業務効率化」「スタートアップやVCファンド投資の初期検討における情報整理とレポート作成を自動化。1社あたりの作業時間を最大90%短縮し、年間約108時間の業務削減効果に相当」といった活用事例が挙げられた。
同社は「今後は、組織全体のナレッジベースをさらに拡充するとともに、OpenAI が提供するデジタルプログラムなどを活用し、業務活用のさらなる定着と高度化を推進する」とコメントしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
DXの“押し付け”がハラスメントに!? クレディセゾンのデジタル人材育成を成功に導いた「三層構造」とは
昨今は人材獲得に苦戦する企業が多く、文系人材をリスキリングなどで育成し、デジタル人材に育てようとする動きが活発化しているが、クレディセゾンのCDOは「『トランスフォーメーションハラスメント』には要注意だ」と警鐘を鳴らす。「トランスフォーメーションハラスメント」とはどんなものなのか。DX時代の人材育成の本質とは何か。
「ストーリー重要」の時代は終わった レイ・イナモト氏が語る、これからのブランド構築の最適解
レイ・イナモト氏はAIが躍進するこれからの時代「“意味”を伝えるストーリーテリングだけでは、もはやブランドは構築できない」と警鐘を鳴らす。
ミスしたのに「定時で帰る」部下 しわ寄せに苦しむ中年に、会社がすべき対応は?
昨今、ワークライフバランスの重視や残業代などの人件費削減の影響で、多くの企業が若年層を中心とした一般社員の残業を抑制する働き方を推進しています。しかしその裏では、しわ寄せに苦しむ中年が……。
野村が捨てた「資産3億円未満」を狙え SMBC×SBIが狙う“新興富裕層”の正体
SMBC×SBIが、「Olive Infinite(オリーブ インフィニット)」というデジタル富裕層向けサービスを開始した。野村證券をはじめとする大手証券会社が切った「1億〜3億円層」に商機があるという。




