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Sansanはなぜ、AI活用を「人事主導」で進めるのか AI利用は8割超え、業務時間9割削減の事例も(2/6 ページ)

生成AI導入を進める中で「導入したものの一部の社員しか使っていない」「業務にどう生かせばいいか分からない」といった声は後を絶たない。そんな中、Sansanは社員の99%が一度はAIを活用し、8割以上が日常的に使用するという成果を生み出している。その秘訣は、IT部門ではなく人事部門が主導するアプローチにあった。

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 野村氏は当時を次のように振り返る。

 「まず、AIに対する健全な危機感の醸成が大事だと考えていました。2024年の年末に、『AIファースト』を掲げたトップメッセージを発表した当時は、世の中も社内も今ほどAIに対する切迫感はありませんでした」


当時を振り返る野村稔氏

 そんな中、社長はAIを積極的に活用していく旨の、力強いメッセージを発信した。

 「それまで社内の多くの人は、『ChatGPTで壁打ちして楽しい』『画像が生成できて面白い』という程度の認識でAIを捉えていたと思います。しかし、AIを活用すれば、業務のやり方も働き方も、根本的に変わっていきます。その認識を全社員で共有することから始めたのです」(野村氏)

 そこから同社が目指したのは、個人の努力に依存しない、組織としてのAI活用だった。

 実際、野村氏が所属する人事部門でも、「組織としてのAI活用」を実践している。採用面接の音声を文字起こししてAIに読み込ませ、同社の採用基準と組み合わせて判断材料を作成する。これを個人がバラバラに行うのではなく、会社として統一した仕組みとして運用しているのだ。

 現在、同社では、GeminiにChatGPT Enterprise、Notion AIと主に3つのツールを活用している。それぞれの利用率は8割に達しており、「全くAIを活用していない社員はほぼいない状態」だという。

 しかし、ツールを配布するだけでは、社員は積極的に使わないだろう。実際、同社でも当初は「AIで何ができるんだろう」と戸惑う声もあったという。そこから社員の大半が日常的に生成AIを使うまでになった背景には、各部門での創意工夫と、それを支える全社的な仕組みがあった。その最前線で成果を上げているのが、Bill One事業部 マーケティング部だ。

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