2015年7月27日以前の記事
検索
ニュース

きっかけは「やばくないですか?」の一言 アトレのAI活用リーダーが語る、全社を巻き込むコツ(4/5 ページ)

一部の社員だけがAIを使い、組織全体への浸透が進まないという壁に直面する企業も少なくない。そうした中、アトレは3カ月余りでGemini利用率95.5%を達成した。成功の秘訣とは?

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

AI導入のコツは、みんなで楽しもうとする姿勢

 「AI利用の障壁として挙がるのは、技術的な部分より心理的な部分です」と語る山本氏。この言葉に、AI導入成功の本質が凝縮されている。

 アトレの企業理念には、「しなやかに」という言葉がある。これを山本氏は「遊び心や日頃の業務とは別の余白を大切にすること」だと解釈。実際、社員たちは「ギャル文字で返して」「5W1Hで返して」といった遊び心のあるプロンプトを試しながら、AIとの対話を楽しんでいる。

 「導入して終わりではなく、みんなで楽しもうとする文化をいかに設計できるかが大切です」(山本氏)。売り上げも重要だが、それ以上に「AIで仕事を変えるというより、AIに対して人間がどう変わっていくか」という視点が大切だという。

atre
アトレ川崎店(同社公式Webサイトより引用)

 では、アトレはAIと共に歩むこれからの未来を、どのように描いているのだろうか。アトレは2030年に向けて明確な3段階のロードマップを描いている。現在は「Step1:基盤づくり」の段階で、2025年度末までにAIを積極的に活用したいと感じ、具体的な活用イメージも持っている社員の割合を21%から60%以上に引き上げることが目標だ。

 次の「Step2:AI活用人材の本格育成」(〜2027年)では、AIパーソナルカラー診断のような顧客向けサービスも含め、現場発のAI活用を加速させる。そしてゴールの「Step3:組織文化としての定着」(〜2030年)では、独自のAIツールを開発・運用することが当たり前になる状態を目指す。

 「現在は、Geminiステータスボードを見ても『みんな利用してるね』程度のことしか分かりません。今後は、どのように利用しているのかまで確認できるようにアップデートしていきたいですね」(山本氏)。単純に要約しているだけなのか、壁打ちをして新しいアイデアにつなげているのか、AI活用の質を可視化することが次の課題だという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る