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年間「7000時間」削減 ファンケル業務効率化の立役者が語る、RPA導入が成功した秘訣(2/2 ページ)

「定型業務を省力化したい」と悩む企業は少なくない。ファンケルは2019年末、RPAツールを導入し、年間7000時間もの業務削減を実現した。導入の経緯や成果を同社に聞いた。

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トライアンドエラーしないとできない

 開発は各現場に任せているが、情報システム部が管理しているため、ロボットを作る際はまず「どれくらいの効果が見込めるか」を申告する必要がある。個人情報などRPAで扱うには不適切なものは省く他、複雑な判断を人がしているにもかかわらず定型業務だと思われている作業に対しては、「もっと整理してから開発した方がいい」などアドバイスすることもあるそうだ。

 「当社には6つの製造工場があり、それぞれの工場が独自のRPAを開発しています。それぞれの工場の事情に合わせたロボットをつくるのですが、工場同士なので似ている部分もあります」。同じようなロボットを複数開発するという無駄を省くため、本社の製造管理部門が一度ロボットの情報を収集。似たようなロボットが他にないかを確認したうえ、開発に進むようフローが設計されている。

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提供:ゲッティイメージズ

 RPA導入に際し、ファンケルは集合タイプの勉強会を複数回にわたって開催。さらに人事部を巻き込んだ施策も実施したという。「導入当初はニーズがありそうな部署に個別で声掛けしていました。それが一巡した後、全社に広げるために人事部に協力を仰ぎました」

 片山氏の要請を受けて、人事部の教育部門は、開発スキルの学習をITスキルを学ぶ研修の一つに盛り込んだ。人事部と連携した理由について、片山氏は「社員から見ても役に立つスキルなんだと認識してもらうため、情報システム部からのみではなく、人事部からも発信してもらいました」と説明する。

 RPAの導入当初は、完成したロボットの品質が低いという課題が生まれやすい。「現場の人が自分の感覚でつくるので、エラーが出やすかったり、意図せず止まったりしてしまいます。また、それを解消方法が分からないという状況もよく発生します」。同社では、ベンダー側からマンツーマンで指導を受けられる時間を毎週設け、個々のトラブルを地道に解決していった。

 また、片山氏はRPA導入を成功させる秘訣として、意識改革も必要だと話す。「今までの感覚だと、情報システム部門に任せれば、高品質なものが出来上がるのが当然という考えです。ですが、RPAは自分でつくるので『トライアンドエラーしないとできない』と思考を切り替えることが必要です」

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RPA導入の秘訣は「思考の切り替え」と話す片山氏(編集部撮影)

 今後について、片山氏は「RPAが動作するPC環境や使っているソフトウェアはバージョンアップします。こうした変化に安定的に対応し、年間7000時間の業務短縮を実現させた今の状態を維持し続けることが課題です」と話す。

 ファンケルのRPA導入に至る道筋は、業務効率化のヒントとなるだけでなく、定型業務が支障なく続けられることの大切さを教えてくれる事例といえよう。

 同社では定型業務だけでなく、店舗接客での効率化も進めている。後編でも引き続き話を聞いた。

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