たかが数分、されど数分 接客の大敵「待ち時間」をファンケルはどう解決した?(1/3 ページ)
店舗接客の悩みの種である「待ち時間」。スタッフにとってもお客にとっても、短いに越したことはない。この待ち時間について、ファンケルは徹底した現場目線で解決を図った。
店舗での接客において、スタッフにとってもお客にとっても、待ち時間は悩みの種だ。スタッフは顧客情報や購入履歴、在庫確認のためにお客を待たせることにプレッシャーを感じる。お客は店の中でポツンと待たされる、手持ちぶさたな時間を過ごさなければならない。
無添加化粧品などの製造販売を手掛けるファンケルでは、化粧品やサプリを販売するショップを152店舗展開している(2025年3月時点)。店舗では、接客に必要な情報がPOSレジ、タブレット端末、店舗PCとさまざまなツールに点在しており、必要な情報を参照するのに時間がかかってしまう課題があった。
そこで同社は、店舗で働く全スタッフ約1000人へのヒアリングを実施。その結果を基に、接客をサポートするアプリ(以下、接客アプリ)を開発し、2025年4月1日に全店導入した。アプリ開発を主導した店舗営業本部の大塚祐哉氏(店舗販売部 販売サポートグループ 課長)と髙井博行氏(店舗販売企画部 業務改革推進グループ 課長)に話を聞いた。
数分の待ち時間でも、接客にとってはマイナス
接客アプリは、お客一人一人の製品購入履歴や過去の接客情報、在庫履歴など計14コンテンツを網羅。店舗スタッフであれば、誰でも手元のスマートフォンで閲覧できる。両氏によれば、1年半ほどかけて開発したという。「以前から『顧客情報の確認にどうしても数分かかってしまう。どうにかならないか』という声が現場から寄せられていました。たとえ数分の待ち時間でも、待たされている顧客にとっては気分のいいものではありませんし、待ち時間は短いに越したことはありません」(大塚氏)
アプリにした理由について、髙井氏は「タブレット端末は大きくて持ち歩きに不便です。接客しながら瞬時に顧客情報を確認するには、スマートフォンで確認できるアプリがいいと判断しました」と説明する。
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