「不気味」から「かわいい」へ ミャクミャクがアンチをファンに変えた理由:データで見る(1/3 ページ)
最初はあんなに“アンチ”ばっかりだったのに……。大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」はなぜ、こんなにも愛される存在になったのだろうか。
連日の賑わいを見せる大阪・関西万博。その中心には常に公式キャラクター「ミャクミャク」の姿があります。今や多くのファンに支えられるミャクミャクですが、お披露目された当初、「不気味」「怖い」といった声に包まれていたことは、皆さん記憶に新しいでしょう。
しかし、その流れを大きく変える転機が訪れます。万博開幕1000日前の2022年7月18日、公募により愛称が「ミャクミャク」に決定。この絶妙なネーミングと、一度見たら忘れられないインパクトのあるビジュアルが化学反応を起こし、SNS上ではたちまち「ミャクミャク様」という愛称と共に大きな話題を呼びました。命名発表の翌日にはXでトレンド1位を獲得するほど、その注目度は一気に高まったのです。
この劇的なイメージ転換の背景には、ネガティブな声を追い風に変え、事業成長につなげる広報・PR戦略のヒントが隠されています。
本稿では、この一大現象をひもときながら、企業が明日から実践できる「広報効果の定量的な検証手法」と「ネガティブイメージを覆すための戦略的思考法」を解説します。
「不気味」「怖い」→なぜポジティブな印象に? データで読み解く
ミャクミャクの人気ぶりはデータ上でどのように表れているのでしょうか。広報効果測定ツール「PR Analyzer」で取得した客観的なデータから、その軌跡を追ってみましょう。
2024年8月から2025年8月まで、ミャクミャクに関する記事掲載数の推移を見ると、2025年4月の開幕時に掲載数が大幅に増えているのが分かります。さらに、開幕前後(2024年8月〜開幕前日と、開幕日〜2025年8月現在)で報道データを比較すると、開幕後はポジティブな論調の記事が全体の4割を占めるなど、論調の「質」も向上していることが見て取れます。
下記は、2024年8月から2025年8月までのWeb記事のソーシャル波及数と、各論調評価の割合を示したものです。開幕後はポジティブな投稿が増加傾向にあり、来場者のリアルな体験投稿が熱量の高い波及を生み出し続けていると考えられます。
2024年8月1日から2025年8月までのXでのミャクミャクに関する言及数は約7万3310件、総波及数(インプレッション)は推定337万人以上に達しています。
次に、SNSでの波及数が高いWeb記事トップ10を見てみましょう。上段が開幕前のWeb記事トップ10です。赤色で囲んでいるように、ネガティブな内容の記事がSNSで波及したことが分かります。
一方、開幕後のWeb記事トップ10では、青色で囲んでいるように、ミャクミャクグッズに関する記事や、「JC・JK流行語大賞2025上半期」でミャクミャクが選出されたといった、ポジティブな内容の記事がSNSで波及しています。
下記は2024年4月から2025年8月現在のXでの共起語(ミャクミャクと同時に呟かれたワード)ランキングです。「様」や「さん」を付けてツイートされていることが分かります。
2025年4月13日の開幕日から2025年8月までの共起語ランキングでは、「プレゼント」というキーワードがランクインしています。大阪観光局が「ミャクミャク号」の新航路就航記念に、チケットプレゼントのキャンペーンを行ったり、FM大阪とミズノ社が、ミャクミャクグッズをプレゼントするキャンペーンを行ったりしたことが要因であると考えられます。
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