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働く人の“ちょっと休む文化”は広がった? 三菱地所「休養室」5カ月の成果(2/4 ページ)

三菱地所が企業間でシェアする休養室「とまり木」を展開している。体調不良時の休養や15分の仮眠・運動指導などを提供し、福利厚生や出社率向上に効果。今後、オフィス環境の標準化も目指す。

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オフィス内の休養スペースが減少

 一般社団法人「日本リカバリー協会」によると、休養・抗疲労市場は2023年の5.4兆円から2030年には14.2兆円まで拡大が見込まれている。健康経営への関心も高まっており、経済産業省の健康経営優良法人認定制度では、2023年に大企業約2300社、中小企業1万4000社が認定を受けるなど、企業の健康投資への意識は向上している。

 ところが、企業の休養室は形骸化しているのが実情だ。従業員50人以上または女性30人以上の企業は、休養室の設置が義務付けられているが、休養室は会議室やロッカールームと兼用されることも多い。また、利用には申請が必要になるなど、十分に活用されているとは言いがたい。

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入口からの様子

 設置義務のない規模の企業は、そもそも休養スペースが確保されていないこともある。三菱地所エリアマネジメント事業部の三輪弘美氏は「体調不良を感じても我慢して働いている人が多い」と語る。

 働き方改革やオフィス環境の整備で働きやすさは向上したが、従来のオフィスにあったロッカー室や給湯室など、気軽に休める「余白」の空間は減少している。「以前は少し立ち止まったり、休んだりできる場所があったが、今は拠りどころが化粧室やトイレになった」(三輪氏)

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リカバリー体験できる機器を多数用意している

 中小企業やスタートアップが単独で福利厚生施設を整えるのは資金的に難しい。こうした課題に対し、三菱地所は休憩室を企業間でシェアする取り組みを始めた。2023年10月から試験運用を行い、延べ8000人が利用した実績を踏まえ、2025年4月に本格運用を開始した。

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