インタビュー
なぜ、スズキが「カレー」を開発したのか 発売2日で5000食が示す意味(4/4 ページ)
自動車メーカーのスズキが社食メニューをベースに開発したレトルトカレー。発売2日で5000食を販売し、ブランド力と本格的な味わいで消費者の注目を集めている。
課題と今後の展望
発売当初から話題となった一方、課題もあった。食品事業が初挑戦だったこともあり、供給に遅れが生じた。現在は体制を改善し、注文から2週間以内での配送を実現している。筆者も実際に注文したところ、3営業日で届いた。
人気の高まりを受け、同社は新たな味の開発も検討している。社食では現在13種類のカレーを提供しており、これらを基にした製品化の可能性を模索している。「13種類すべてというわけではないが、新しい味を今後も届けていきたい」(広報担当者)と展望を語る。
販路については、現在はECサイト「S-MALL」とスズキのイベント会場での直販のみだが、本社に隣接するスズキ歴史館での販売も予定している。一般スーパーなどへの展開は未定で、「スズキのオリジナルグッズ」という位置付けで自社の流通網のなかでの販売拡大を優先する方針だ。
今回のレトルトカレーは、単なる商品販売にとどまらない。スズキと同じ浜松に本社を置く老舗企業の鳥善との協業による地域活性化、インドと日本の文化交流を両国の国民食である「カレー」を通じて実現した。
スズキにとって、本業以外での新たなブランド価値創出の事例となりそうだ。
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