コラム
マクドナルドと吉野家、「おまけ商法」でなぜ差が付いた? 転売ヤー対策に見る両社の違い(3/4 ページ)
マクドナルドのハッピーセットで、ポケモンカードに多くの転売ヤーが群がり騒動を呼んだ。一方、同時期には同じく吉野家の「おまけ」商法が称賛を浴びていた。両社の違いはなぜ生まれたのか。
吉野家は「時間差」を利用した転売ヤー対策を実施
吉野家は2024年に「カービィと吉野家まんぷく大作戦」の第1弾・第2弾を実施した。並盛633円(小盛600円)の「カービィ盛」を注文した客に、カービィのフィギュアを付けるキャンペーンだ。フィギュアは第1・2弾合わせて全7種あり、牛丼を持つなどのポーズをとっている。だが、同キャンペーンにも転売ヤーが殺到し、連日売り切れの店舗も現れた。
これを受けて吉野家は2025年1月に第3弾を実施した。第3弾では第1・2弾のフィギュア全7種を景品としたうえで、450円ごとの会計で1ポイントを付与し、2ポイントでフィギュアを提供する仕組みとした。
転売ヤーから見て、原価が600円から900円に値上げされたことになる。また、第3弾ではその場で提供するのではなく、半年後の7月上旬に発送予定とした。SNSではマクドナルド騒動が起きた8月以降、フィギュアが「届いた」という投稿が現れ、マクドナルドとの対比で吉野家の対策が称賛された。
転売ヤーは商品を買い占め、購入者の「今すぐ欲しい」という感情を利用して高値で売りつける。半年後ではフィギュアの人気が読めないため、仕入れを避けがちになると考えられ、吉野家による時間差での提供は、買い占めを避ける有効な手段といえるだろう。
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