ネイリストの先駆者に聞く 日本のネイルサロンは「何が」すごいのか:シリーズ「編集部の偏愛」(1/3 ページ)
優れた技能を持つ人を表彰する「現代の名工」において、2024年、ネイリストが初めて選出された。現代の名工に選ばれた木下美穂里氏に、ネイルに携わるようになったきっかけや、日本のネイル産業の特徴についてインタビューした。
シリーズ「編集部の偏愛」:
ITmedia ビジネスオンライン編集部のメンバーが、「いま気になるもの・人・現象」をきっかけに、社会や経済の変化を掘り下げる企画である。個人の“偏愛”を軸にすることで、記事には書き手の視点や関心が自然ににじむ。日常の小さな関心が、経済の動きや兆しとどうつながるのかを、取材を通して丁寧に伝えていく。
優れた技能を持つ人を表彰する「現代の名工」。厚生労働大臣が毎年選出するもので、これまで友禅染工や建築大工といった伝統工芸から、ソフトウェア開発など最先端技術まで幅広い分野の技術者たちが選ばれてきた。そんな現代の名工において、2024年、ネイリストが初めて選出された。
現代の名工に選ばれた木下美穂里氏は、日本におけるネイリストの先駆者の一人だ。ネイルに関する技能講習や資格認定などを行う日本ネイリスト協会の理事も務めている。木下氏にネイルに携わるようになったきっかけや、日本のネイル産業の特徴についてインタビューした。
日本のネイルサロンは何がすごい? 「現代の名工」に聞いた
──木下さんがネイリストを志されたきっかけを聞かせてください。
私はもともと映画やドラマ、広告のヘアメークをやっていました。母がヘアメークアーティストだったこともあり、16歳から母の事務所でアルバイトを始め、世界中の美容に関する情報に触れていました。
そうした中、1980年代ごろに米国ロサンゼルスの映画界で、特殊メークの延長線上として、付け爪をアクリル樹脂で作っているという情報を知りました。当時のヘアメークアップアーティストは、メークだけでなく、髪のセットやネイルなどを一人が担当するのが当たり前だったこともあり、興味が湧いたのです。
アクリル樹脂は歯科でも使用される材料で、日本にも入ってきていました。しかし、どうやって付け爪に使えばいいのかが分からない。当時は今のように気軽にネットで調べられませんでしたから、「現地に行って技術を学ぶしかない!」とロサンゼルスに何度も足を運びました。ロサンゼルスで開催されたビューティートレンドショーに参加したところ、世界チャンピオンの方と知り合い、その方から指導を受けたり、講習に参加したりして技術を勉強しました。
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