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変化を望む経営層、嫌がる現場――AI時代、組織変革の成否を分けるのは?

従業員の多くは「リーダーが期待する全ての変化には対応できない」と感じている。それでも、AI時代は組織に変革を迫る。どう進めていけば良いのか?

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HR Dive

 組織は変革の転換点に立っている。コンサルティング企業の米The Grossman Groupが9月16日に発表した報告書によると、経営者の50%以上が「今後2年間で3件以上の変革を実行する」と予想している一方で、大多数の従業員は「吸収可能な大きな変化は年1〜2件にとどまる」と回答している。

 米国の営利組織に勤めるフルタイム従業員905人と、事業部長以上の経営幹部256人を対象に、米The Harris Pollが6〜7月に実施した調査によれば、リーダーと現場とのダイレクトな関わりや効果的なコミュニケーションがなければ、組織が変革に失敗する確率は5.5倍に高まるという。しかし従業員の4人に1人は、自社のリーダーが十分にうまくコミュニケーションを取っていないと考えている、とThe Grossman Groupは指摘した。

それでも組織と文化を変えるには?

 その一方で、従業員が変革に十分に巻き込まれている場合、組織が大きな変化に成功する確率は3倍に高まると、同社は強調している。

 AIの影響をめぐる議論は冗長に思えるかもしれないが、正当化されるものだと報告書は指摘している。経営者の大多数が、AIが自社における変革に大きな役割を果たすと回答しており、4人に1人は「AI導入が最も実行困難な変化である」と見ている。

 またリーダーたちは、組織文化の移行を変化の大きな要因として認識しているが、文化変革は特に失敗しやすい領域でもある。特に、リーダーが効果的な伝え方を学んでいない場合、その傾向は顕著になると報告書は強調している。

 成功のためには、経営陣と社内コミュニケーターが「足並みを揃え、計画的に変化を順序立て、人々に響く方法で伝え、コミットメントを得る必要がある」と、The Grossman Groupの顧客サービス責任者カイル・ディーアキング氏は述べた。つまり組織が成長するには、「変化を規律ある力として扱うこと」が不可欠だと強調した。

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(提供:ゲッティイメージズ)

 こうした懸念を裏づけるように、コンサルティング企業の米The Conference Boardが7月に発表した調査では、変革が失敗する大きな要因は「人」に起因する課題であることが示された。人的資本部門の主任研究員は、意図的にインクルーシブな戦略を取ることで、変革の成功率は大幅に高まると述べている。

 さらに2024年に、組織設計ソフトウェアを提供する英Orgvueが発表した調査によれば、多くのCxOは「人材変革の失敗率の高さ」と「常に危機対応を迫られる状況」によって、変革疲れに陥っていることが分かった。

 この点で、人事部門の専門性は重要だとされる。人こそが変革成功の中核であるためだ。人事部門はそのための準備を整えていると、他の調査も繰り返し強調している。

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