車中泊に「横になれる深夜バス」サービスまで……ホテル価格高騰で生まれた新ビジネスたち(2/3 ページ)
インバウンドの増加などで高騰するホテル料金。昨今は、ホテル以外に宿泊できるサービスがどんどん登場している。
新たな夜行バスや夜行特急も続々と登場
コロナ禍の需要低下から回復している夜行バス市場は、若年層の推し活による需要がけん引している。
高速バスを運営するWILLER EXPRESSの調査では、年末年始に宿泊料金の高騰を理由に夜行バスを選択した客が多かったという。特に2024〜25年シーズンは前年よりライブ・イベントなどの推し活に伴う利用増加が見られた。
旅行比較サイトを運営するオープンドアの調査でも、高速バスの主な利用者が29歳までのZ世代という結果が出ている。年収がそう高くない世代であり、安さを理由に夜行バス・高速バスの利用者が増えているようだ。
高知駅前観光は、3月からフルフラットシートを設けた寝台バス「ソメイユプロフォン」の試験運行を断続的に実施している。8月の運行では東京〜高知や東京〜徳島間の料金を1万円程度に設定した。従来の夜行バスと異なり、完全に横になれる点が売りだ。LCCの便数が多い大都市間では価格優位性が見られないが、高知などの中都市では需要を開拓できそうだ。
こうしたニーズに対応する狙いがあるのか、JR東日本は新たな夜行特急列車を2027年春に導入する予定だ。常磐線の特急「ひたち」などで使用されているE657系の1編成を特別仕様とし、首都圏〜北東北のエリアで運行する。
ダイヤは上野を午後9時発、青森に午前9時着などが想定される。部屋は1〜2人用のグリーン個室と4人用のグリーン個室、1〜2人用のプレミアムグリーン個室の3種類。ホテル価格の高騰で主要駅前のビジネスホテルは1人1万円以上が相場となった今、新幹線+宿泊費よりも低価格に抑えられれば、寝台列車の需要は復活するかもしれない。
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