車中泊に「横になれる深夜バス」サービスまで……ホテル価格高騰で生まれた新ビジネスたち(3/3 ページ)
インバウンドの増加などで高騰するホテル料金。昨今は、ホテル以外に宿泊できるサービスがどんどん登場している。
成長を続ける「快活CLUB」の原動力は?
快活CLUBはスーツ店を展開するAOKIグループの複合カフェだ。漫画喫茶・ネットカフェがスマホの普及によって衰退した一方、快活CLUBは全店直営であり、サービスの均一性や店内の清潔感が支持されて店舗数を増やしている。フランチャイズオーナーや零細業者が運営してサービスの質が落ちる店がある一方、快活CLUBは質を重視する事で差別化を図ったわけだ。2003年に1号店を出店し、8月時点で496店舗を展開する。
快活CLUBは主に地方のロードサイドと都市部の両軸で勢力を伸ばしてきた。サービスの質や清潔感だけでなく、仮眠需要を取り込んだことも成長につながったと考えられる。新宿駅西口店の場合、土日の12時間パックは6000円以下でホテルよりも安い。インバウンドの増加などもあり、都内のホテル価格は土日で2万円超えが当たり前となる。カプセルホテルでも1万円近くする時代を考えると、快活CLUBの料金は格安だ。
全室鍵付き個室の店舗は2024年度末時点で全体の1割だが、今後は都市部を中心に同タイプの店舗を増やす計画を示している。価格優位性を発揮しながら、宿泊客を取り込もうとしているのだろう。
コンテナホテルも登場した
宿泊費の高騰が激しい中、車中泊や快活CLUBは低価格の宿泊需要を満たしている。北関東の工場地帯では1万円以下で泊まれる「コンテナホテル」も現れ、出張者のニーズをつかみ始めた(参考記事:『ロードサイドに増殖中の「コンテナホテル」 インバウンド度外視でも好調なワケ』)。
この他、夜行バスや寝台列車はあくまで移動手段だが、夜間に移動するため宿泊と同様のサービスといえる。前述の通りインバウンドの増加などでホテル価格は下落しそうにない。今後も低価格の宿泊需要を狙う新たなサービスが現れてくるかもしれない。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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