「会社の良い面」だけを伝えていないか? 採用のミスマッチ、面接の場でどう防ぐ(2/2 ページ)
早期離職は日本企業における重要課題だ。採用のミスマッチを避けるためには、面接の場をうまく活用する必要がある。面接の場をどのように作り上げればいいのか?
――面接以外で採用のミスマッチを防ぐためには、どのような取り組みができるでしょうか?
面接時間は限られているため、どうしても面接官のバイアスがかかってしまいます。そのため、適性検査の活用は有効だと考えています。適性検査はすでに多くの企業が取り入れていますが、検査会社の出すスコアで判断するだけでは意味がありません。
過去に実施した適性検査と入社後のデータの相関を分析し、「活躍する人材」「離職しやすい人材」の特性や傾向を分析することが重要です。一般例で判断するのではなく自社の文脈に合ったデータ活用が採用の質を高めるポイントになります。
――離職を防ぐために、入社後はどのようなフォロー体制が必要でしょうか?
特に入社から3カ月、半年といった節目には、フォロー研修や1on1面談を通じて本人の不安を吸い上げ、承認欲求を満たすことが重要です。「自分はここまで成長している」という成長実感や、「自分でこの会社を選んだ」と再確認できる機会をつくることが離職防止につながります。
――面接官に必要な姿勢、考え方についてアドバイスをお願いします
面接の場は、面接官が「自社の風土に合うかどうか」を判断する場であると同時に、応募者にとっては自己を振り返り、将来のキャリアを考える重要な節目となります。面接官は応募者の人生の節目に立ち会っているという意識を持ち、目を見て、五感もフルに使って誠実に対話することが大切です。そうすることで、お互いが安心して語り合い、良い関係を築ける場になります。
上原正光
上原コンサルティングオフィス代表。国家資格キャリアコンサルタント、キャリアコンサルティング技能士2級。経営者のパートナーとして経営課題の解決に伴走し「本音を語れる関係性づくり」を基盤に経営と現場をつなぐ。研修講師としても離職防止やキャリア支援、管理職研修などを展開。
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