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今は鮮魚を追う、元楽天投手・森雄大さんが見つけた新たな「生きがい」(4/4 ページ)
プロ野球を去り、寿司屋に飛び込んだ元楽天ドラ1投手・森雄大。市場で魚を見極め、銀座で顧客をつかみ、再び本店へ。挫折と再挑戦を経て彼がたどり着いたのは、「人を信じ、人を見る力」だった。
まだ見ぬ次の夢に向かって
今後のキャリアについて尋ねると、森さんは明確にこう答える。
「野球教室をやるとか、野球のほうに戻るつもりはありません。魚の道を歩き始めたので、この世界で伸ばしていきたいです。具体的な夢はまだ見つかっていません。ずっと野球しかやってこなかったので、そう簡単に次の夢は見つからないです。でも、今は日々新しいことが起こる環境にいます。その中で探していこうと思っています」
最後に、今一番頑張りたいことを聞くと、「一緒に働く人たちが『この会社で働いてよかった』と思ってもらえるようにしたい」と森さんは真っ直ぐな視線でこう応じた。彼ら、彼女らが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、裏方として支える。それが現在の森さんのやり甲斐なのだという。
プロ野球から海の世界へ。早朝から市場に通い、店舗運営をサポートし、スタッフの声に耳を傾ける。その姿勢は、これまでの人生経験の中で得た「人への感謝」が土台になっている。多くの人たちへの恩返しのため、そして自分自身のために、森さんは東北の地で勝負を挑み続けている(【前編】を読む)。
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