「日産スタジアム」「味スタ」「ほっともっとフィールド」近年過熱する公共施設の“ネーミングライツ”がもたらす功罪(2/3 ページ)
ここ10年ほどで目にすることが増えた、公共施設のネーミングライツ。その功罪について考えていく。
過去に三度も名前が変わった球場も
神戸市が所有する「神戸総合運動公園野球場」は、過去3度も命名権の取得者が変わった。1988年に完成し、1989年以降はオリックス・ブレーブスやブルーウェーブ、バファローズの本拠地、準本拠地として使われている。
2003年にソフトバンクが命名権を取得し「Yahoo! BBスタジアム」となった。国内の野球場では初の取り組みとされ、ソフトバンク側は「ボールパーク構想」の熱意に共感したことを理由に挙げている。当時、ソフトバンクが野球への参入を試みていた。2005年に福岡ダイエーホークスを子会社化し、同チームの名称を福岡ソフトバンクホークスに変更している。
ホークスを傘下に収めたため、ソフトバンクは同球場の命名権が不要になったのだろう。2005年にはスカイマークが取得し、名称が「スカイマークスタジアム」となった。スカイマークは2008年に契約を更新したが、2011年以降は更新せず、神戸市は新たな契約者を募った。
その後「ほっともっと」「やよい軒」を展開するプレナスが新たに命名権を取得。以降、現在に至るまで「ほっともっとフィールド神戸」という名称が付いている。現在の命名権料は年間約3500万円だ。
現在は本拠地ではなく「準本拠地」として使われていることも関係しているだろうが、頻繁に名称が変わってきたため、他のネーミングライツがある施設より知名度が低い印象を受ける。命名権は企業側の都合で名称が変わるのが欠点といえるだろう。なお、オリックスが本拠地とする大阪ドームは2006年に京セラが命名権を取得し、現在に至るまで「京セラドーム」の愛称が定着している。
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