ニコン「400億円」新本社の全貌 圧巻の劇場型アトリウム、階段で仕事……交流を生む数々の仕掛けとは:オフィス探訪(2/3 ページ)
ニコンが約400億円を投じた「本社/イノベーションセンター」。200人を収容する圧巻の劇場型アトリウムや、階段に「働けるスペース」を設けた意味とは。コミュニケーション促進のために、どのような工夫を施したのか?
グループアドレスエリアは、横長の机が並べられたワークステーション、集中ブース、Web会議が可能なミーティングブースを設置。一方、コラボレーションエリアでは、さまざまな種類の机や椅子が並べてあり、用途によって什器を使い分けることができる。ほかに、クローズドな会議室、プロジェクトルーム、気軽にコミュニケーションが取れるパントリー(冷蔵庫・電子レンジなどがある)などの機能が存在。コラボレーションエリアは部署の垣根を越えて誰でも使えるのが特徴だ。
コラボレーションエリアをあえて真ん中に置いた理由について、六日市清尊氏(経営管理本部 工務管理部長)は「人が行き来できるようにしたかった」と話す。また、コピー機やトイレなども、コラボレーションエリアとグループアドレスエリアの真ん中に作っている。
「複合機、メールステーション、トイレ、階段などの部分をコアと呼んでますが、このコア部分は低層階の建物であれば、通常は端に設置します。コミュニケーションを促進するために、それをあえて通路の上に設置しました。トイレなどは必ず1日に数回は利用する場所。あえて人が交わる工夫を施しています」(六日市氏)
各フロアをつなぐ大階段には、分科会の若手社員のアイデアが一部採用されている。階段機能だけでなく、腰を下ろして談笑したり、スクリーンも完備されているため、プレゼンや打ち合わせにも利用できる。一種のコラボレーション機能を有しているといえるだろう。
また、緑が感じられ気分転換ができるテラスも用意。リラックスしながらコミュニケーションを取れるほか、天気が良ければ外で仕事ができるように机も置いてある。
環境や地域住民への配慮、デジタル化も推進
執務席を歩いていると、天井が特徴的な作りであることに気付いた。これは、PC(プレストレストコンクリート)床板による現し天井で、床板がそのまま天井の役割を担っている。これにより、高い天井高と無柱空間による開放的な広さを実現した。また、PC床板を利用したことで「工期の短縮につながった」(六日市氏)という。
この新本社は環境に配慮した設計を施しており、高断熱・高日射遮蔽、ライトシェルフを活用した自然エネルギーの利用、太陽光発電システムなどにより、「ZEB Ready」認証と「BELS」の6つ星を取得している。
西大井がニコンゆかりの土地ということで、地元への配慮も忘れない。テラスを作った理由の一つに、六日市氏は「5階のテラス部分は、4階と同様に執務席を作ることができたのですが、ビル風が発生することが分かり、地域住民に配慮してやめることにしました」と話す。避難所機能も有しており、災害時には近隣住民など、社員の他に300人程度が避難できるように食品・毛布などの備蓄も多くしてある。
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